株価は割高ですが、ずっと買いたいと思っている銘柄の一つにアドビがあります。
一言で言うと、この企業はかなり安定して、儲かっている企業です。
この企業が提供しているデザインソフトは年額や月額の定額制のものが主流なので、景気が悪くなってもそれなりに業績が安定している上に、利益率が高い商売をしているので、投資家目線で魅力的に見えます。
株価が落ちてくれば長期で保有したい銘柄
今までは優良企業だと思っていても株価が割高でそんなに買う気にならなかった株でも、少しずつ良い感じに株価が下がってきているものがあります。この記事では、私が注目している株価が下がったら長期保有目的で買いたいと思って日頃ウオッチしている企業をあげていきます。
そのアドビの2021年度第1四半期(2020年12-2月期)の決算が良かったので、この記事で振り返ります。
この記事のポイント
- アドビの決算は売上・利益ともに予想を超える好決算だった。
- 売上・利益の成長率が加速している点は好印象。2020年は低調だったマーケティングツール関連の売上成長率も復活している。
- アドビ株はまだやや割高だが、2020年9月をピークに株価は数ヶ月下げたので一時期感じていた割高な印象は薄れつつある。
2020年12-2月期決算
今期の決算は売上も一株利益も予想を上回る好決算でした。
- 売上:39.1億ドルで、予想を1.5億ドル上回る。(前年比+26.5%)
- 一株利益:3.14ドルで、予想を0.35ドル上回る。(前年比+38.3%)
前年同期と比べて売上は約+27%、一株利益の+約38%とかなりの高い成長率を見せています。
ひと目見た時に「あれ、アドビってこんなに成長率高かったっけ」という印象をもったので、過去3年の成長率を比較していましたが、2021年はやや低調になっていた成長率が戻ってきたようです。
上記の売上と営業利益のデータと、今期は過去3年でもっとも成長率が高かったようです。
もともとアドビは定額制ビジネスがメインで売上が安定している企業ではあるものの、それでも新型コロナの不況の影響を受けて2020年は売上成長率が鈍化していました。しかし、今期は高い成長率が戻ってきたようです。
ただし、まだ完全復調ではないようで、来期の業績見通しは事前のアナリスト予想を下回ってしまっています。
この記事のポイント
- 売上:37.2億ドル(アナリスト予想37.6億ドルを下回る)
- 一株利益:2.81ドル(アナリスト予想2.70ドルを上回る)
アドビの業績見通しは少し保守的で、この点はこの決算での中では珍しく株価にはマイナスなポイントでした。
部門別売上
アドビの部門を確認しておくと、次の2つの部門があります。
Adobeの事業
- デジタル・メディア事業:デザイナー向けデザインソフトやドキュメントソフト(PDF等)を販売する主力事業。
- デジタル・エクスペリエンス事業:近年買収を進めて強化してきたWebマーケティング支援ツールを販売する事業。
アドビは次の成長分野を育てるためにマーケティング領域(デジタル・エクスペリエンス事業)で企業の買収を含めて活発な投資をしているのですが、前期までこの分野の成長率の低さに悩まされていました。
しかし、今期は売上成長率が前年比+24%と、復調の兆しが出ています。
売上(単位B:10億ドル) | 1Q21 | 構成比 | 前年比 |
---|---|---|---|
デジタル・メディア事業 | $2.86B | 73% | +32% |
デジタル・エクスペリエンス事業 | $0.93B | 24% | +24% |
その他 | $0.11B | 3% | -34% |
合計 | $3.91B | 100% | +26% |
上のグラフを見るかぎり、復調は前期から続いているようです。来期はコロナの影響で前年の売上が低いので、高い成長率はしばらく続く見込みです。
まとめ
アドビの決算を見てきましたが、かなり良かったと思います。
来期の売上見通しだけは予想を下回ったものの、今期は売上・利益ともに予想を超え、しかも成長率は加速している傾向が見られました。
アドビは良い企業だなと、決算書を見ながら改めて感じました。
この企業に問題があるとすれば、やはり株がいつも高くて買う気にならない点でしょう。
高ければ高いほど割高を意味する予想PER(株価÷1年後の予想一株利益)を見てみても、高い状態が続いています。2020年末よりは少し安くなっているのが、救いというくらいです。
ただ、株価を見ると2020年9月をピークに、だいぶ長いこと調整をしています。既に長期投資なら、少しだけ購入しても良いくらいの調整はしているかも知れません。
購入するべきかどうか、買うならいくらかをもう少し考えてみたいと思います。