2月中旬から長期金利が上昇した悪影響で、ナスダック総合指数はいくらか下落しました。
しかし、米国株を代表することが多いS&P500は最高値に近いところを行き来していて、割高感は全く解消されている様子はありません。
私は5-6月頃になれば、ナスダックだけではなくS&P500も下落して割高感が調整されるような下落があると予想していますが、それも起こらないようなら私は米国株を一部売って、米国株の保有比率を下げようと思っています。
この記事のポイント
- 今年の後半はアメリカはかなり強い景気になり、2021年は37年ぶりの経済成長を達成するかも知れない。
- ただし、その好景気に予想される業績予想を考慮しても、米国株の割高感はほとんど消えていない。
- このまま調整がないなら、次の好景気の時期で米国株の保有を減らすことも考えている。
割高感が解消されていないS&P500
2021年後半のアメリカの景気はかなり強くなると言われています。
3月9日に公開されたOECDの最新の予測では、2021年のアメリカのGDP成長率は6.5%にもなると言います。
もしも本当に6.5%もの経済成長を実現できたなら、1984年以来の37年ぶりのことになります。
この大きな成長を後押ししているのが、バイデン大統領が推し進めた景気刺激策です。これがアメリカのGDP成長率を3〜4%弱押し上げるようです。
好調な業績予想でも消えない割高感
アメリカの好調を受けて、企業の利益も上がることが予想されています。
企業の利益予想が大きく上向くなら、「今まで割高感だった米国株は株価をそれほど下げなくても割高感は解消されていくかもしれない」と期待するところなのですが、実際にはS&P500の割高感はほとんど解消されていません。
下図はS&P500の割高度合い(予想PER)をグラフ化したものですが、好調な21年後半の業績予想を反映させても、まだかなり割高な状態が続いていています。
他人が最高の好景気だと言って、株を買いに走る時に売る
私は2021年5-6月頃にも、米国株は大きく下げるのではないかと予想しています。
その仕組は次のようなものです。
2021年5-6月に米国株が下げると考える理由
- (1).5-6月以降に米国でワクチン接種が広まり、日常が戻り始める。
- (2).消費者物価や個人消費などの経済データが上向いて、景気回復を実感するようになる。
- (3).景気が回復すれば、金融緩和の終わりが意識されて金利が上がる。
- (4).低金利を背景に高値が続いてきたS&P500も、金利上昇の影響を受けて下落する。
2021年の米国株、5月から6月頃の一時的な下落を少し警戒しています。
また本格的な株価下落は2022年後半だとしても、それまで右肩上がりに株価が上昇するのではなく、何度か雲行きが怪しくなって一時的な下落も経験すると思っています。直近で警戒しているのは5-6月頃です。この記事では、なぜ5-6月に下落が起きやすいと考えているのかを書いていきます。
実は、これらの動きは既に2月中旬から起こっていて、割高な株が多くて影響を受けやすいナスダック総合指数は10%を超える下落が起こっています。5月から6月頃には、S&P500にもナスダックに似た動きが出て10%から15%ほど下落する展開があるのではないかと思って、私は身構えています。
ただし、もしもこのような下落をS&P500が経験しないまま、割高感が解消されずに2021年後半のアメリカ経済の好調を迎えることになるなら、私は7月以降に米国株の一部売却する考えも持っています。
20世紀を代表する投資家ジョン・テンプルトンは、次のような言葉を残しています。
他人が絶望して売りに出した時に買い、他人が最高の好景気だと買いに走る時に売る
(ジョン・テンプルトン)
2021年後半からは37年ぶりのアメリカの好景気が始まることが予想されますが、これはジョン・テンプルトンが言う「他人が最高の好景気だと買いに走る時」にはピッタリだと思っています。