これからアメリカでインフレ率が上がってくるという記事を昨日書きました。
今後のアメリカの消費者物価の予想と、わずかに広がっている投資家の9月利上げ予想。
この記事では、恐らく来月から少しずつ投資家の注目があつまるようになるはずのアメリカの消費者物価指数(インフレ率)について、書いておこうと思います。ごく一部の投資家は高止まりするインフレ率に対応するために、FRBが早めに政策金利を引き上げざるをえなくなる展開が9月にも訪れると予想しています
よりシンプルに考えるなら、「結局、インフレ率が上がることに賭ける投資をすればいいのではないか?」という発想に行き着きます。
その考えは割とあっているように思います。
まだどれほど上昇余地があるのかわかりませんが、直近の数ヶ月は投資家のインフレ予想を受けて原油・金属・穀物などの価格(コモディティ価格)が上昇して、米国株をしのぐリターンを見せています。
この記事のポイント
- 意外にもコモディティ価格に連動するETFはS&P500などの米国株インデックスを4ヶ月連続で上回る成績を上げている。
- コモディティETFの主な上昇要因は原油価格の上昇。2020年11月から価格が勢いよく上昇している。
- 今後もコモディティETFの価格上昇が続くかどうかは、判断が難しい。個人的には、石油株のほうが上昇余地がある気がしている。
過去4ヶ月連続でコモディティETFがS&P500のリターンを上回る
あまり日本の投資家には知られていないのですが、コモディティ価格に連動するETFは最近好調でS&P500を4ヶ月連続で上回る成績を上げています。
たとえば、GSG(iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト)という銘柄では、11月からずっと好調が続いています。
2020年10月から4ヶ月連続でGSGのリターンがS&P500を上回っていると書きましたが、実はナスダック100(QQQ)にも4ヶ月連続で上回っています。
コモディティETFの主な上昇要因は原油価格の上昇
GSGに限らず、多くのコモディティETFがS&P500に匹敵するかそれを上回るリターンを上げているのですが、その原因は原油価格などのエネルギー価格の上昇にあります。
例えば、GSGの構成比率を見てみると時価総額が大きいエネルギー価格に大きく左右されるように作られています。
そして、エネルギー価格でよく取り上げられるWTI原油先物の価格を見ると、2020年11月から価格が勢いよく上昇しています。
上のグラフを見る限り、過去5年間の最高値まであと12%のところまで回復しているようです。
最近の原油の価格の上昇はアメリカでの寒波の影響で原油の生産量が減ったことも影響していますが、ワクチン開発で大きな進展があった2020年11月から上昇が始まっていることを考えると「新型コロナウイルスが収束したら、車や飛行機などのエネルギー需要が大きく回復する」と見込んで、投資家の資金が資金が集まったようにも見えます。
コモディティETFの今後
ここまで2020年11月からコモディティETFの好調が続き、意外にもS&P500やナスダック100を上回る成績を上げていることに触れてきました。
問題は、今後もコモディティETFはS&P500を上回るほど価格の上昇が続くのかどうかです。
もちろん将来のことはわかりませんが、私の考えでは次の2つの理由で今後1年程度ならS&P500を上回るリターンを出せるのではないかと思っています。
コモディティ価格に強気な理由
- アメリカは2021年に景気が良くなるのに、低金利の状態が続く。これはコモディティ価格が上昇しやすい環境。
- 一方で、株価は長期金利の上昇の影響を受けて低迷が続いている。長期金利の上昇は今後も続きそう。
ただし、コモディティETFよりも個別の株のほうが良いかも知れないと思っているので、私はコモディティETFにはそれほど大きな資金を入れていません。
たとえば、エクソンモービルの株価の回復は原油価格よりも遅れているように見えるので、コモディティETFよりもエクソンモービル株のほうが上昇余力が大きいように見えます。
また、今なら石油株はそこそこ良い配当利回りも得られるので、石油株を主力にしつつコモディティETFにも手を広げるような投資をしています。