2月25日にアメリカの長期金利が急上昇した時に、米国株全体が大きく下げたことがありました。
その日の株価の動きを見ながら、「割高ではない銘柄」か「医薬品・一般消費財(生活必需品)・公共サービスの銘柄」なら下落が緩やかだったという結論を以下の記事で出しました。
市場の動きから金利上昇に強い銘柄を探していく。
今後も実質金利が上昇する余地があるなら、どんな銘柄ならその影響を受けにくいのか把握する必要があります。この記事では、2月25日の市場でどんな銘柄が金利上昇の悪影響を受けにくかったのかを調べて、今後の金利上昇にどのように備えるかを考えていきます。
それからしばらくして、3月3日の市場でも金利がわずかに上昇して株価が下がる場面があったので、同じように「割高ではない銘柄」と「医薬品、生活必需品、公共サービス」が金利上昇局面でも下落に強かったのかをこの記事で検証したいと思います。
この記事のポイント
- 3月3日も、医薬品や生活必需品銘柄の株価の下げは比較的小さかった。公共サービスは一部に大きく下落している銘柄も見られた。
- 3月3日は金利の上昇が小さかったため、これから景気が良くなれば上昇すると思われる石油・旅行・工業・金融株は株価が上昇して取引を終えた。これらの株では、わずかな金利上昇の悪影響よりも、業績回復期待が勝っていた。
- なお、金利上昇で株価を下げた銘柄の中には、すでに割高ではなくなった銘柄がいくつか存在する。例えば、フェイスブックは個人的には長期投資で保有できる株価がついていると考えている。
割高な株価指数ほど売られた
3月3日の市場では長期金利がわずかに上昇し、株価に悪影響が出ている様子が見られました。
この日の米国株の株価指数を確認すると、前回の2月25日と同じようにやはり割高な指数ほど売られています。
金利上昇でも強かった銘柄
また、3月3日にどの銘柄が金利上昇に強かったかをfinvizを使って調べて見た結果がこちらです。
わかったこと
- 医薬品や生活必需品銘柄は金利上昇局面でも株価の下げは小さかった。
- 前回の金利上昇時では公共サービスも株価下落が小さかったが、3月3日は銘柄によっては大きく下げた。
- 前回と異なり、この日は石油・旅行・金融・通信・工業株が値上がりした。
前回同様にそれほど大きく株価が下げなかったのは、医薬品と生活必需品です。生活必需品銘柄の中でも、割高ではないタバコ銘柄の株は値上がりもしていました。
また、この日は石油・旅行・金融・工業株などのコロナが収束すれば業績回復が見込める銘柄も株価が上昇しています。
これらの銘柄は、「金利の下落圧力」と「業績回復の上昇圧力」の2つの力が加わっていますが、3月3日は前回2月25日ほど金利上昇が大きくなかったため、この日は株価が上昇して取引を終えられたのだと思います。
まとめ
2月25日と3月3日の2日間の市場の動きを見ていて、確認できることは次の2つです。
- 割高ではない株は、金利上昇でも下落幅が小さい。(ダウ平均、医薬品株、生活必需品銘柄など)
- 景気回復で恩恵を受ける銘柄や業績改善が期待されている銘柄は、金利上昇の悪影響を小さくできる。金利上昇幅が小さい日なら、株価が上昇することもある。(石油、旅行、金融、工業株など)
また、「割高ではない株」というの数週間から数ヶ月もすると変化するものもあります。下落が続けば、割高感が薄れてくる銘柄が出てくるからです。
今までIT銘柄は割高なものが多くて、金利上昇で大きく下げていることが多かったのですが、よく見るとIBMは3月3日でも株価が上昇しており、フェイスブックも下落幅がそこまで大きくありません。
まだフェイスブックは今後も金利上昇があれば売られると思いますが、既に個人的には既に買っても良いほど割高感は薄れて見えます。
例えば、割高度(予想PER)を見てみると、2021年こそ22.9倍と少し高いですが、2022年以降の予想PERでは石油会社のシェブロンと同じくらい低い数字が並びます。
割高感さえ薄れてくれば、利益を伸ばせる企業こそが金利上昇に強い企業になるので、利益をちゃんと出している大手IT企業株(グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、アップル、アマゾン、ネットフリックスなど)は買えるチャンスが来るかどうかを注目してみてみたいと思います。