先日の記事では、ごく一部の投資家が年内のアメリカの政策金利引き上げを予想し始めているという記事を書きました。
わずかながら高まりつつある、アメリカの年内の利上げ予想。
一部の気の早い投資家は、2021年内にもアメリカは政策金利を引き上げるのではないかと予想し始めています。今まで米国株は低金利を背景にして、株価が上昇していました。もしも金利が引き上げられれば、割高な株を中心に株価が引き下げられる力が働きます。
今まで金利を低く保ってきたおかげで米国株は上昇を続けてこれましたが、金利引き上げの動きが本格的に始まれば、あらゆる株が下落する恐れがあるので警戒しています。
警戒はしているのですが、私の考えでは2021年内はまだ利上げは起こらないだろうとも思っています。少なくとも数ヶ月は今の金融緩和が続いて、株の投資も問題なく続けられるはずです。
この記事では、最近のFBRメンバーの発言をおさらいし、その発言の通りならまだ金融緩和は続きそうだという点を確認していきます。
この記事のポイント
- 政策金利を決める権限を持つFRBは、「雇用の最大化」と「インフレ率の平均2%超え」の目標を達成が近づくまで、金融緩和(金利引下げなど)を継続すると言っている。
- 2021年2月時点で、雇用もインフレも目標には達していない。個人的は景気回復が予想される2021年下半期でどれだけ目標に近づくかに注目している。
- 2021年のアメリカは景気回復が期待できるのに金融緩和が続くなら、インフレ率はいずれ平均2%超えを達成できるはずなので、企業の業績回復とインフレ率上昇を見越した投資は今後も有効だと思われる。
FRBの発言からわかること
今のアメリカの金融政策は、株価の行方を大きく左右しています。
その金融政策を決めているFRBのパウエル議長の最近の発言がロイターにまとまっていたので、気になったものを取り上げていきたいと思います。
パウエル議長の発言から読み取れること
- 「インフレと雇用の目標達成に近づいているとデータが示すまで、今の金融緩和を継続させる」と言っているが、現状は2つとも目標から程遠い。
- また「金融政策を変更するなら、前もって見通しを伝達する」と発言しているが、まだ見通しは一度も発表されていない。今後数ヶ月で金融緩和の縮小はなさそう。
- 2021年の下半期の景気回復は力強くなるとFRBは予想。個人的には、この好調な21年下半期に雇用とインフレの達成が見えてくれば、FRBは金融緩和の終わりを宣言するかも知れないと考えている。
金融緩和はしばらく続く
まず、パウエル議長は2021年2月時点では、雇用もインフレも目標には程遠い状態にあると見ているようです。
失業率を下げて、インフレ率を平均2%超えで安定させることを目標に金融緩和をしていたはずなので、雇用とインフレが目標にかなり近づいているとデータで示されない限りは、ゼロ金利や債権購入などの金融緩和は続く模様です。
アメリカの毎月の雇用統計を見ると、失業率は順調に下がってきているようにも見えるのですが、FRBブレイナード理事によると労働人口の集計の仕方に問題があり、今はリーマンショックの最悪期と同じ失業率10%に近い状態だと言います。
またインフレ率も、前年があまりに低迷していた3月4月にインフレ率が2%を超えることはあっても、それを計算から除外すれば目標には遠い状態にあると言います。
ターニングポイントは2021年下半期
パウエル議長によれば2021年下半期はアメリカの景気回復は力強くなると見ているようです。2021年のアメリカの経済成長は6%もあり得ると強気な発言もありました。
>>パウエルFRB議長、債券購入の継続を示唆-改善への期待も表明(ブルームバーグ)
当然ですが、この好調な2021年下半期で失業率がどれだけ減るか、インフレがどこまで上がるかが、金融緩和終了の時期を大きく左右すると思います。
もしもFRBが金融緩和の終わりが近いことを市場に知らせるなら、2021年下半期の好調な経済のデータが出てからの可能性が高いと思います。
それでも、まだ目標に程遠い失業率が半年ほどで改善されるのはかなり難しいので、やはり個人的には2022年以降の利上げのほうが確率が高いと思います。
景気回復とインフレを期待した投資は継続
先日の記事では、アメリカで金利引き上げが始まったら株価が大きく下げる可能性があると伝えました。
しかし、視線を現時点に向けて見ると、政策を決めるFRBの発言を聞く限りは、利上げがすぐに始まる様子は見られません。
もしもFRBの考えに変化があるとしたら、景気が好調になる言われている2021年下半期の景気回復のデータが出てきてからの可能性が高いです。
それまではアメリカの景気回復とインフレ率上昇を期待した株の投資を続けて問題ないと思っています。
私が考える2021年まだ投資できるテーマ【2021年1月版】
2021年1月時点で、米国株は割高にみえるものがかなり多くなっていますが、現時点でまだ伸びしろがある分野もわずかにあります。私がまだ投資できると思っている分野は石油、航空、ホテル、銀行、タバコ、軍需産業です。これらのまだ投資できる分野について書いていきます。
少し気をつけたいのは、景気が良いのに過度に金融緩和をしすぎてしまった場合です。この場合には、行き過ぎたインフレが起こる恐れがあります。(これを踏まえると、インフレ率上昇で恩恵を受ける資産を多めに保有しても良さそうです。)
2021年から顔を覗かせるインフレ、それを見越した投資方法
2021年はウイルスが収束に向かうにつれて景気も上がるはずですが、消費も活発化してあらゆるモノの値段(インフレ率)も上昇するだろうと思っています。2021年はモノ(コモディティ)に投資してもそこそこ上手くいくのではないかと考えています。
また、今後予想以上に回復している景気のデータが出てくれば、2021年下半期を待たずにFRBは金融緩和縮小の考えを発表するかも知れないので、FRBの発言には注目したいと思います。