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2020年11月に訪れていた投資の転換点。低迷していた業界株が巻き返し中。

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たいていの場合、今体験していることの意味は後になってみないとわかりません。

10代の頃に夢中になっていた音楽を5年後や10年後に聴き返した時に「こんなことを歌った詞だったんだ」と初めて理解できた経験をした人も多いはずです。

このような体験は投資でも頻繁に起こります。

2021年になって昨年まで低迷していたエネルギー株や金融株が好調な一方、大型IT銘柄など昨年まで好調だった株がそれほど伸びていないという現象が起こっていますが、その転換点を遡ると2020年11月から変化が見られます。

ただし、2020年11月の時点で「今世の中で起こっていることの意味」を正しく理解して、投資に活かせた人は多くないはずです。

この記事では、昨年2020年11月に起こったことを振り返り、その時に投資家が受け取るべきメッセージは何だったかを考えていきます。

この記事のポイント

  • 2020年11月は2つの大きな出来事が起こった。1つは大きな景気刺激策を望む民主党のバイデン氏が大統領選挙で勝利したこと、もう1つは新型コロナウイルスに有効なワクチンが完成したこと。
  • この2つは、2021年からの景気回復を決定的なものにした。今までコロナで大きく下落していた銘柄の大きな巻き返しが始まることを意味していた。
  • 投資家が取るべき行動は、今まで好調だった銘柄を売却してボロボロになっていた株に入れ替えることだった。だが、その当時にすぐに実践できた人は多くない。

2021年になって変化が見られる業界ごとの株のリターン


この記事を書いている2021年の2月中旬時点で、米国株の業界ごとにリターンを調べてみると、昨年とだいぶ大きな変化が見られます。

昨年まで好調だった一般消費財や情報技術(IT)などは今年もリターンは出しているのですが、突出しているわけではありません。代わりに、去年まで低迷していたエネルギーや銀行業界の株が2021年は好調なようです。

2020年低迷していた業界が2021年は好調

転換点は2020年11月だった


2021年はエネルギー株や銀行株など前年まで低迷した株の復活が続いていますが、この流れを調べてみると2020年11月には既に始まってます。

11月に何があったかを思い返して見ると、すぐに思い当たるのは「大規模な景気刺激策を望む民主党バイデン氏の大統領選勝利」と「新型コロナウイルスのワクチン完成のニュース」です。

今からこの2つの出来事が世の中に与えた意味を考えてみると、2021年の世界に大きなインパクトを与えていることがわかります。

大統領選の結果とワクチン完成が与えた意味

  • (1)景気回復:ワクチンの完成で2021年からのコロナ収束が現実的になり、景気刺激策で景気が力強く回復すると期待が高まった。
  • (2)長期金利上昇:景気刺激策で米国の国債が大量に新規発行されれば、国債が売られて長期金利が上がる。
  • (3)インフレ率上昇:ワクチンだけでも景気が回復するのに、景気刺激策と金融緩和も行われるので、インフレ率は上昇しやすくなる。

この流れを活かすなら、(思いっきり後づけ的な考えですが)投資家は2020年11月の時点で次のように動くと良かったのかも知れません。

  • ワクチンでコロナが収束するなら、2020年に調子の良かった銘柄を売り、コロナで大ダメージを負った銘柄を買う(例:エネルギー、不動産、銀行、航空、ホテル株など)。
  • 長期金利が上昇すれば金利収入が増える銀行株に投資する。また、金利上昇で株価が下がりやすい割高な銘柄は避ける。
  • 景気回復とインフレ上昇で恩恵を受けるエネルギー株に投資をする。

ただ、私も多くの投資家同様にこの流れにはすぐに乗れませんでした。

2020年夏頃から少しずつエネルギー・銀行・航空・ホテル株を買い増ししていましたが、「2020年に調子の良かった銘柄を切り捨てて、これらの株を買っても良い」と思えたのは、2021年1月になって以下の記事を書いた頃からです。2020年11月の転換点からは約2ヶ月遅れになります。

実は2020年11月の時点で、これからのアメリカでは長期金利が上昇することも、景気が回復することもある程度は理解していました。

しかし、「2020年に調子の良かった銘柄を切り捨てても、コロナで低迷している銘柄を拾いに行く」という決断がなかなか出来ませんでした。

この難しさを理解するために具体例をあげるとすると、「年間50%ものリターンを出した大型ハイテク株ETF(QQQ)のような銘柄を売って、同じ期間にマイナス30%のリターンに沈んでいる石油大手のエクソン・モービルの株を買いに行けるか」と考えてみてください。

過去の株価の変動やリターンをあまり気にしない私でも「本当に大丈夫?」と考えてしまったので、他の投資家の方はもっと不安になるはずです。

まとめ


この記事では、2021年に好調が続いているエネルギー株や銀行株は、実は2020年10月に転換点を迎えていたという話をしました。

景気回復、金利上昇、インフレ上昇はこれからもしばらく続くトレンドだと思うので、これを見越した投資はまだ伸びしろがあるとも思っています。(寒波のおかげでエネルギー価格が上昇しているところがあるので、エネルギー株は春に一時的に下落をするかも知れませんが)

ただ、2020年11月の教訓としては「何が起こったら流れが変わるか」は整理しておいたほうが良いかも知れません。ワクチンの完成前に「ワクチンが出来たら、コロナで大ダメージを負った株に大きく切り替える」と決めていたら判断は遅くならなかったはずです。

例えば、銀行株も長期金利の上昇が止まったら売りどきだと思っていますが(以下の記事参照)、このような想定をいくつかしておくと良さそうです。


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