このブログでは2021年になってから、アメリカのインフレについて頻繁に取り上げています。
2020年代の米国投資の大きなテーマはやはりインフレだと思う。
まだ2020年代は始まって1年しか経っていませんが、それでもこの10年間で大きな変化が起こりそうなものをあげるなら、アメリカのインフレ(モノの価格上昇=ドルの価値下落)だと思います。たぶん、2020年代のアメリカはインフレが投資家の最大の関心事になるはずです。インフレ率が適温なら米国株に追い風ですが、過熱すると向かい風に変わるので、注意が必要です。
しかし、同じように日本もインフレが進んでいるか見てみると、今のところ日本ではインフレは兆候すら見えていません。
これから事情が変わるかも知れませんが、私は今後も日本のインフレ率はアメリカよりも低く抑えられると思っています。
インフレ率が低いほど通貨の価値は減りにくいので、資産の一部を現金にしておく必要がある場合には、米ドルよりも日本円のほうが適していると思っています。
この記事のポイント
- この記事を書いている2021年2月時点の日本では、アメリカのようにインフレ率が上昇する兆しは見られない。
- 今後も日本のインフレ率が上がらないかは観察が必要だが、このままの状態が続くなら、現金を保つ場合はインフレで価値が減りやすい米ドルよりも日本円のほうが有利。
米国株の投資家は日本円よりも米ドルを多く持っている人も多いと思いますが、しばらく現金のままで放置するつもりなら、日本円で保有するのも良いかも知れません。
日本にはインフレ率上昇の兆候はない
この記事を書いている2021年2月現在は、日本にインフレの兆候は全くありません。
アメリカではコロナ収束前にも関わらず既に物価上昇が見られるのですが、日本はまだ物価は低迷したままです。
以下の2つのグラフはコロナが流行し始めた2020年2月の消費者物価を100として、直近の物価指数をグラフ化したものですが、アメリカの物価上昇トレンドと日本の物価下落トレンドがキレイに分かれている様子が見えます。
預金残高もアメリカのほうが高く積み上がっている
日本の消費がふるわず物価上昇率も落ち込んでいる原因には、コロナだけでなく2019年10月の消費税引き上げの影響があるのかも知れません。
もともと日本人は消費税が引き上げられてから消費を控えていた上に、コロナで外出や買い物も我慢していたとしたら、今頃は預金口座にお金が高くたまっているはずです。
コロナ収束したら貯めていたお金が買い物に回って、力強い消費と物価上昇が戻ってくる可能性もあるので、今後の物価上昇のポテンシャルを確かめるために、預金口座の残高も調べてみました。
2021年1月末時点でこの1年間にどれくらい預金口座にお金が積み上がっているのかを日米で調べた結果がこちらです。
2021年1月末の預金残高(M2) | 前年比 |
---|---|
米国 | +26% |
日本 | +9% |
結果は日本よりもアメリカのほうが銀行口座が高く積み上がっていることが分かりました。
これを見る限り、コロナが収束した後に消費が伸びる余地が大きいのは、普段よりも預金を高く積み上げているアメリカのほうです。必然的にアメリカのほうが物価上昇率も伸びると思われます。
まとめ
最近このブログでは、アメリカのインフレ率上昇を話題として取り上げることは多いのですが、目線を変えて日本でもインフレは起こるのかを見ていきました。
2020年2月現在までに公開されているデータを見る限り、日本にインフレの兆しはなく、アメリカよりもインフレ率は低めに抑えられる可能性が高いと思わます。
なんで日本でインフレ率が高まらないのかは「2019年の消費増税で消費意欲が失われている」という短期的なものから、「もともと賃金の上昇率が低いのに、税金と社会保険料の負担は増加傾向で、消費にお金が回らない」などの長期的ものまで考えられます。
理由はともあれ、投資家としては日本のほうがアメリカよりも低インフレだという状況があるなら、その状況を利用するだけです。
具体的には、もしも資産の一部を現金でしばらく持つ予定があるなら、インフレで価値が減りやすい米ドルよりも日本円のほうが良い気がしています。
ただし、日本の低インフレの傾向がいつまでも続くのかは、注意が必要です。
世界の国の新型コロナウイルス関連の景気刺激策の規模を調べてみると、想像以上に日本は多くの金額をバラまいていることがわかります。
多くの現金を企業や個人にバラまけば、それだけインフレ率が上昇しやすい環境になります。今の日本は低インフレで上昇する兆候も見られませんが、ジワジワと物価が上がる可能性もあるので、消費者物価は定期的にチェックしても良いかも知れません。