この記事の結論
市場全体に政策金利の期待が広がっています。この記事の結論を先にお話すると、米金融政策決定会合FOMCが次に利下げ実行したタイミングから、私はかなりのまとまった額の株の売却を数ヶ月間かけて進める予定です。
過去の景気後退局面では「景気後退シグナル(逆イールド)発生」、「利下げと同時に景気後退シグナル解消」、「株価のピーク」、「景気後退入り」と進行していますが、景気後退前の2段前の「利下げ」のタイミングでポジションを減らして、次の景気後退に備えます。
利下げ決定の段階で株を売却することで、その後の株価上昇の恩恵を受けられなくなる機会損失の問題も生じますが、10年に1回しかこない大事な不況の局面ですので、今回の不況では安全運転で利益を確定して、また10年後の不況への反省材料にしたいと思います。
いきなり結論から入ってしまいましたが、アメリカの経済の状況を整理してから、なぜそのように考えたのかをお話します。
アメリカに利下げムード広がる
貿易戦争で荒れた2019年5月も過ぎて6月に入ると、市場参加者の関心はアメリカ中央銀行FRBの金利利下げに移ってきているように思います。
セントルイス連銀総裁が早期の米政策金利の利下げが必要かもしれないと言及し、その翌日にFRB議長も経済状況を注意深く監視して必要な対応を取ると宣言して、利下げの可能性を排除しませんでした。
2018年末の市場には利上げ懸念まであったのに、2019年上半期だけでだいぶ大きな変化が起こったようです。
参考記事:「米政策金利引き下げ、早期に必要になるかも知れない」セントルイス連銀が発言
参考記事:FRBパウエル議長「米中央銀行は経済拡大のために適切に対処する」
利下げを機に逆イールド現象が解消される
このブログでも毎日のように取り上げている景気後退のシグナルの逆イールド現象ですが、もし利下げが実行されれば解消される可能性が高いです。
以下の引き算の答えがマイナスになる現象を逆イールド現象といいますが、引く数の3ヶ月国債利回りは政策金利が引き下げられれば、影響を受けて大きく低下するため、以下の式の計算結果もマイナスからプラスに反転するためです。
(10年国債利回り) - (3ヶ月国債利回り)
【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
逆イールド現象は1989年ピーク時との同水準まで進行
しかし、この逆イールド現象の解消は良い知らせではない可能性が高いです。というのも、逆イールド現象は既に1989年時の景気後退前の水準付近にまで進行していて、「逆イールドなんて発生してませんよ」なんて無かったことにできないほど進行しているからです。
上司からのいわれなき批判なら華麗にスルーするのも容易いですが、今回ばかりは難しそうです。
ちなみに上記の図でグレーがかかっている期間が景気後退局面で、過去のデータを見ると逆イールド現象が解消された後にいずれも景気後退時期に入っています。次にアメリカが利下げを決定して逆イールド現象が解消されたら、「いよいよその時が来ますよ」というシグナルになります。
次の利下げ時、まとまった売却をします
過去の記事で逆イールド現象が発生してから1年から2年以内に株価がピークを迎え、その後景気後退入りするとお話しましたが、利下げがこれらの段階的な変化の中でどういう位置づけになるのかを調べてみたのが、下の表になります。
多少順番が前後することはあるものの、概ね「逆イールド発生」、「利下げと同時に逆イールド解消」、「株価ピーク」、「景気後退」の順番で起こっていることがわかります。
逆イールド発生 | 利下げ開始 | 逆イールド解消 | 株価のピーク | 景気後退 |
---|---|---|---|---|
1989年5月 | 1989年6月 | 1989年7月 | 1990年6月 | 1990年7月 |
1998年9月 | 2001年1月 | 2001年1月 | 2000年8月 | 2001年3月 |
2006年2月 | 2007年9月 | 2007年9月 | 2007年10月 | 2007年12月 |
2019年3月 | – | – | – | – |
本当であれば株価のピークで株を売りたいところですが、いつピークが来るのか私は相場を読む力がないので、次善の策として利下げのタイミングからまとまった金額の株を毎月売ろうと思います。
最悪1989年時のように利下げ時期から株価ピーク時期まで1年も空いてしまい、その間株価の上昇の恩恵を受けられなくなる機会損失が発生する場合もありますが、1998年のように実は利下げ時には既にピークを過ぎていることもあります。
ここは機会損失をしても、安全策をとって利下げ時のタイミングで株を売却したいと思います。もしも、もっと良いタイミングで対応できている人がいるのなら、その人方法を勉強して、また10年後に訪れる景気後退時に試してみたいと思います。
次の利下げは2019年7月から9月か
さて、気になる次の利下げタイミングですが、専門家でもいろいろな憶測が飛び交っています。
ロイターの名物コーナー「識者はこうみる」を見ていると、せっかちな人は6月に利下げの可能性があるとっている人もいれば、7月から9月と予想する人もいます。
参考URL:米FRB議長発言:識者はこうみる(2019/6/5,ロイター)
上記の記事では、私の考えはこの中ではラリー・ミルステイン氏に一番近いですね。中国とアメリカの貿易協議は、夏の間も時間をかけて行われる可能性もあるかなと思うので、FRBはその様子をみて9月頃に利下げを行う展開もあるのかなと思います。
話は脱線しますが、”識者はこう見る”っていうコーナー、名前が格好良いですよね。取材された人も”識者”と呼ばれて悪い気はしないでしょうし、読んでいる方もなんかロイターが認めた識者が語る意見として、耳を傾けやすいです。
なので、今のところ株の大きな売却は利下げ時(9月頃?)の想定です。状況が刻々と変われば全然わからないですけど、市場が殺伐とする前には、もう少し具体的に売却銘柄も検討したいと思います。