新型コロナウイルスで世界中の消費が落ち込むまでは、マスターカードは毎年のように増収増益をして、株価が右肩上がりに上がる銘柄でした。
以下の記事では毎年のように利益を増やしてキャッシュフローを生み出す企業こそ、長期保有に向いている株だという話をしましたが、マスターカードはそのお手本のような企業です。
個別株の投資で重要なたった2つのこと
とってもシンプルに考えるなら、個別株に投資で重要なことはたった2つしかありません。【何を買うのか】と【いつ買うか】だけです。この記事では、長期で個別株で資産形成したいと考えている投資家に向けて、どんな銘柄をどのタイミングで買っていけば良いかを考えていきます。
コロナがまだ収束していない今でこそ苦しい時期を迎えていますが、2020年10-12月期の決算では未だにマイナス成長ながらも最悪期の2020年4-6月からかなり回復してきた様子が見えてきました。
この記事では、マスターカードの決算を振り返り、買いなのかどうかを考えていきます。
この記事のポイント
- マスターカードの2020年10-12月期の決算は、売上・利益ともにマイナス成長ながらも予想したほど業績は悪化しなかった。
- 相変わらず割高な状態が続いているので、何年も保有する長期保有で買うには適さない株価がついている。
- しかし、米国株でバブルが弾けなければ、2021年後半から2022年前半までに株価が上昇するチャンスはあるかも知れない。コロナが収束に向い、消費が活発化すれば、今後1年間でマスターカードの業績はアナリストの予想以上に伸びる可能性は十分にある。
低迷しながらも回復傾向が続いたマスターカード
マスターカードの2020年10-12月決算は、低迷が続きながらも回復傾向が続いていることが確認できる内容でした。
- 売上:41.2億ドル(予想値40億ドル、前年比マイナス7%)
- 一株利益:1.64ドル(予想値1.52ドル、前年比マイナス16%)
単位B:10億ドル | 20Q4 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $4.1B | -7% |
営業利益 | $2.1B | -12% |
(調整後)一株利益 | $1.64B | -16% |
マスターカードは毎回予想を超える決算を出すことで有名ですが、今期もマイナス成長ながらも、予想よりも良い数字を発表しています。
近年の売上と利益の成長率の変化を見てると、コロナの消費低迷の影響を受けて2020年はマイナス成長が続いていますが、少しずつ改善している様子が見えてきます。
マスターカードの利用状況を見ても、10-12月は回復傾向に大きな崩れはないようです。
ただし、以下のグラフで2021年1月分のデータを見てみると、カード利用状況がやや軟調になっているので、次の決算のマスターカードの業績はあまり良くないかも知れません。
なお、2021年1月のカード利用の低迷は、新型コロナウイルスの感染が拡大したアメリカでの消費の伸び悩みが影響したことが背景にあるようです。
ここまでの記事で、マスターカードが(1)2020年10-12月期はコロナの悪影響でマイナス成長ながら予想ほど業績が悪くなかったこと、(2)2021年の年明けからはアメリカでの消費が低迷した影響で業績回復の勢いが弱まったという2点をお話しました。
ここから先は「マスターカードの株は買いなのかどうか」を考えていきたいと思います。
長期では割高でも、1年程度なら投資の余地はあり
マスターカードの株はかなり買われていて、割高な状態にあります。
なので、買ってから何年も保有することを考えている長期投資家ととっては、まだマスターカードを買うタイミングは来ていないと思います。
しかし、今後1年程度の短期的な保有なら、マスターカードやライバルのビザなどのカード決済会社の株が上昇する可能性はある気がしています。理由は2021年後半からアメリカの消費がかなり力強く回復すると(私は)予想しているからです。
高まるアメリカの消費欲と預金残高
新型コロナウイルスが流行してからアメリカでは、外で思い通りに買い物をする自由が奪われてきました。
アメリカの一般の人がワクチン接種が終わると言われている2021年後半にも、その自由が戻ってくると思われます。
その時に、この1年間の景気刺激策で高く積み上がったアメリカの預金残高を使って、抑えつけていた消費欲を開放して、力強い消費が戻ってくるはずです。
この消費の回復の恩恵は航空・ホテル・デパート・クルーズなどで恩恵を受けるとも言われていますが、マスターカードやビザも間接的に恩恵を受けるはずです。
アナリスト予想では2021年のマスターカードの売上成長は(低い2020年実績をベースにして)プラス18%としていますが、それを超える可能性は十分あると思います。
個人的はリスクを取らずに、割安になるまで長期で待つ
しかし、2021年の米国株では一部の銘柄でバブルのような動きもみられるので、そんな中で割高なマスターカードやビザに手を出すのはかなりリスクが高いかも知れません。
私は安全に行きたい派なので、1年程度でマスターカードの株が上振れする可能性があるかも知れないと思いつつも今は投資をせずに、株価が安くなるまで何年も待ちたいと思います。