2020年10-12月もP&Gの決算は良かったです。
まだ世界中でウイルスの感染拡大が広がって在宅時間が伸びていることを背景に、身の回りを清潔に保つホームケア関連のP&Gの製品が好調です。
決算が良かったとは言え、P&Gのような安定した銘柄は1日で大きく株価が上昇することはないのですが、こういう銘柄は「ウサギとカメ」の話のカメのように長い年月をかけて上昇するはずです。
私も決算期以外ではブログ記事でも触れることもないP&Gですが、将来の安定した老後を提供してくれる銘柄の1つとしてポートフォリオの中にはちゃんといれています。
今期の決算発表もざっと眺めてみましたが、株価が好調でP&Gにしては配当利回りが低くて買い増しする気が起こらないこと以外に不満はありません。ただ、この不満も追加投資しないなら無視できるものなので、安心して保有継続で良さそうです。
この記事のポイント
- 2020年10-12月は売上、一株利益ともに予想を上回る好決算だった。
- 新型コロナウイルスの影響を受けて、ホームケア製品を中心に好調をキープできた。ただし、細かく見ると新型コロナウイルスの追い風もやや弱まっている兆候も見られる。
- 現在はP&Gにしては株価が順調に伸びているため、配当利回りはそれほどない。コロナの追い風も今後和らぐことを考えると、買い増しをせずに継続保有で良さそう。
2020年10-12月業績
2020年10-12月(21年度2Q)の決算は、売上・一株利益ともに予想を上回る好決算になりました。
- 売上:197.5億ドルで、予想を5億ドル上回る(前年比+8.3%)
- 一株利益:1.64ドルで、予想を0.13ドル上回る。
- オーガニックセールス:前年比+8%で予想を上回る(予想は+6.4%)
売上+8%はP&Gにしては、かなり好調です。2020年後半からの好調をキープしているように見えます。
売上以上に好調なのは利益で、本業の利益を表す営業利益は前年から+20%で成長しています。
P&Gの好不調はオーガニックセールス(買収売却や為替の影響を除いた売上)で測ることが多いのですが、オーガニックセールスを見ても好調が続いている印象を受けます。
部門別売上
P&Gの好調の原因を部門別の売上を見て探っていくと、この数四半期は「ホームケア」部門の売上が伸びていることがわかります。
P&Gはどの製品がどの部門に入っているのかわかりにくいので、部門ごとの製品をまとめておきます。
P&G部門説明
- 美容:ヘアケア(シャンプーやスタイリング)とスキンケア(美容・化粧品)を扱う部門。パンテーンやSK-IIなど。
- グルーミング:シェービングを扱う部門。ジレットやブラウンなど。
- ヘルスケア:オーラルケアとパーソナルヘルスケア(ビタミン、サプリメント、のど飴)を扱う部門。オーラルB、のど飴ビックス。
- ホームケア:ファブリックケア(洗剤やファブリーズ)、ホームケア(食器洗い洗剤、掃除用具)を扱う部門。アリエール、ジョイ、ファブリーズなど。
- ベビー・女性・ファミリーケア用品:幼児や女性、介護用品を扱う部門。ブランドはパンパースなど。
上記の5部門の売上成長率の推移をグラフにしましたが、ホームケアが一番恩恵を受けているようにみえます。
世界中でウイルスの感染拡大が広がって在宅時間が伸びていることを背景に、身の回りを清潔に保つホームケアが好調になっているようです。
P&G株は買い増しせずに保有継続
今のP&Gは好調ですが特に追加投資しなくて良いと思います。
この銘柄の過去5年の平均的な配当利回りは約3%ですが、今は2.4%とあまり大きな魅力はありません。
一方で「コロナが収束したら売上成長率が鈍化するから、売っても良いのでは?」という考えも出てきますが、私はそれもしなくて良いと思っています。
- 長期的に安定した銘柄なので、そもそもそんなに頻繁に売買する必要がない。
- P&Gの業績回復はウイルス流行前から始まっていて、ウイルス収束後もある程度継続すると見られるため。
特に2点目についてですが、P&Gの成長率の加速は2019年のコロナ前から始まっているので、コロナ後もそれなりの成長が見込める気がしています。
以下のオーガニックセールスのグラフを再度良く見てみると、成長率の加速が始まったのは2019年からです。
2019年に何があったのかを振り返ってみると、この時期から過去数年間進めてきたP&Gの改革が成功して再成長の軌道に乗り始めました。
改革に成功しつつあるP&G。2019年4-6月期は好決算で株価上昇。
好調なアメリカの個人消費の勢いを受けて、P&Gも好決算を出した模様です。2019年1-3月期でもオーガニックセールスは5%成長していましたが、今期は7%の成長へと加速しています。デイビッド・テイラーCEOが率いていた改革が、実を結びつつあるように見えます。
P&Gはウイルス流行の追い風を受けていた企業ではありますが、それが無くなったとしても大きく崩れるわけではなさそうです。この銘柄は、買い増しせずに継続保有で良いと思っています。