2020年も残りわずかになってきたので、少しずつ今年の投資の振り返りめいた内容を書いていきたいと思います。
私は2019年8月から2020年3月までは、資産の60%以上を米国債で持つなど守りの投資をしてきました。
この守りの投資は、レイ・ダリオが個人投資家向けに提案したオールウェザー戦略(別名:オールシーズンズ・ポートフォリオ)を参考にしたものでした。オールウェザー戦略は、株100%で投資する場合に比べるとリターンは高くないものの、株の下落時に抜群の安定感を誇ることで有名な投資法です。
私の場合は2020年3月下旬に国債をすべて売って、オールウェザー戦略から脱却してしまいましたが、この記事では、もしも2020年を1年まるごとオールウェザー戦略を取っていた場合には、どんなリターンになっていたのかを検証します。
この記事のポイント
- オールウェザー戦略はコロナショックでも安定感が抜群だった。もしもオールウェザー戦略を取っていた場合、年始からの投資リターンは一度もマイナスにならなかった。
- ただし、米国株全体は2020年4月以降に急回復したので、4月以降はS&P500のほうが総じてリターンが良く、最終的にS&P500がオールウェザー戦略のリターンをわずかに上回った。
- オールウェザー戦略で資産を守ったとしても「守りと攻めの切り替え」が重要だった。
そもそもオールウェザー戦略とは
オールウェザー戦略(オールシーズンズ・ポートフォリオ)は投資家レイ・ダリオ氏が個人投資家に推奨しているポートフォリオです。
以下のように株・国債・金・商品などに分散させて、好況・不況・インフレ・デフレなどあらゆる経済の状況でも安定して、中程度のリターンを残せるように組まれています。
レイダリオが個人投資家に推奨するオールシーズンズ・ポートフォリオ
「アメリカ株が順調すぎて、いつか大きな下落しそう。」「でも、株を売って現金にしたら、せっかくの株価上昇を逃してしまう」という人に、そこそこのリターンを上げながら、株の下落に強いオールシーズンズポートフォリオを紹介します。
オールウェザー戦略のメリット・デメリット
- 【メリット】:不況がきて株が大きく下落するような場面でも、オールウェザー戦略なら下落幅を抑えられる。
- 【デメリット】:株100%の場合に比べると、期待できるリターンが小さい。
2020年のオールウェザー戦略のリターン
2020年のアメリカは新型コロナウイルスの影響を受けて10年ぶりの不況になりましたが、オールウェザー戦略を取っていた場合には、どのような投資リターンになったのかを振り返っていきます。
米国株S&P500と比較した場合の、オールウェザー戦略のリターンは次の図のようになりました。
(※2020年12月24日までのデータで集計しています。)
まず、目を引くのは2020年3月のオールウェザー戦略の下落幅の小ささです。
2020年3月のS&P500は大幅に下落していたのですが、オールウェザー戦略は最悪期だった3月末を含めて、年始からのリターンが一度もマイナスに陥りませんでした。
ただ、2020年一年通して見るとオールウェザー戦略もS&P500も、リターンはほぼ16%で大差はありませんでした。
オールウェザーの成績がS&P500よりもよかったのは市場が荒れた3月までで、残りのほとんどの期間はS&P500のほうがリターンが優れていたようです。最終的には、S&P500はオールウェザー戦略のリターンをわずかに逆転する現象まで起こりました。
多くの投資家が悲観的になっていた2020年3月が過ぎたら、オールウェザー戦略から米国株中心の投資にスイッチしたほうがリターンを伸ばせたようです。
VIXと呼ばれる恐怖指数を見ると、投資家の悲観がピークを迎えたのは3月16日でしたが、この時期がオールウェザー戦略から米国株投資に切り替えるタイミングだったのかもしれません。
まとめ
この記事では、不況に強いオールウェザー戦略が2020年にどれくらいリターンを上げたのかを見ていきました。
オールウェザー戦略は景気後退期に突入して、株価が急落する場面では圧倒的な安定感を見せたものの、その後の景気回復期ではS&P500に大きくリターンで遅れを取ってしまった結果、年間ではわずかにS&P500にリターンで劣ってしまったようです。
結果論ではありますが、投資家の総悲観な心理状態が落ち着いてからは、S&P500に投資を切り替えたほうが、うまく行ったのかもしれません。
次にオールウェザー戦略を次使うときには、攻守の切り替えが重要になる点は教訓として覚えておきたいと思います。
ただ、オールウェザー戦略を使う時期は、数年先になると思います。次に不況が来るのは、2021年以降にアメリカが本格的に景気回復して、政策金利も引き上げられた後だと思うので、まだまだ数年先になると考えています。