投資で平均以上の成績を残すためには、「他の多くの人がやらない正しい選択」をする必要があります。
そういうと難しく聞こえるかもしれませんが、実はシンプルなのにあまり多くの人が実践できていないことがあります。それは「待つこと」です。
もともと人間は本来待つことが得意ではないようです。
なので、欲しい株があっても買っても良い株価に下がるまで待てる投資家や、保有してからも株価が上昇するまで待てる投資家は、それだけで平均的な投資家を上回ることができる素質があります。
この記事では、「待つ」ことについて書いていきます。
この記事のポイント
- 「どんな良い銘柄でも買っても良い株価に下がるまで待つ」「大きく上昇するまで待つ」など、投資で大きく儲けるためには「待つ」ことが重要。
- 多くの人は待つことが苦手なので、待つことができるだけで長期的に平均的な投資家の成績を大きく上回ることができる。
- 待っている間は成績が伸び悩むが、その先に大きなリターンが得られる。
待つことは難しい
長期投資家がやることはそんなに多くありません。
以前こちらの記事でも書いたように、まずは利益(フリーキャッシュフロー)を毎年積み上げている企業を見つけることが重要ですが、その後は「どんなに欲しい株でも、高くないと思える株価に落ち着くまで待ってから買う」、「買ってからは、株価が大きく伸びるまで何年も待つ」という長い待ち時間を過ごすだけです。
ただ、人間はあまり待つことが得意ではないようです。
既に2020年のコロナの自粛で多くの人が経験したように、たった1ヶ月家じっとしているだけでも苦痛を感じます。これは世界の人も同じようで、アメリカでは毎日最多の新規感染者数を記録している状況でも年末の旅客需要が増えているようです。
>>米航空旅客、パンデミック宣言の3月以来最多-ホリデーシーズン需要(ブルームバーグ)
基本的に人は待つことが苦手なようなので、「待てる」だけで、長期投資家として大きな素質があると言えます。
幼少期には決まる「待てる」素質
少し脱線するのですが、「待てる素質があるかどうか」は幼少期できまり、その後の人生にもかなり大きく影響するようです。
小学校に上がる前の子供に「15分後に親が帰ってくるまで、テーブルの上のマシュマロを食べなければ、もう一つ追加でマシュマロをあげるよ」と言って部屋を出ていく実験(通称:マシュマロテスト)をした結果、マシュマロを我慢して待てる子供は、待てなかった子供よりも将来の大学進学試験の点数や、年収が高くなるという話があるようです。
どうしても自分は待てるタイプの人間ではないと思うようなら、「ひたすら我慢する」という根性論で対処するのではなく、株の取引は半年に1回にするなどルールを作って待てる仕組みを作っていくことも一つのアイディアになりそうです。
バフェットは投資の機会が来るまで何年も待つ
世界的に有名な投資家のバフェットと相棒のマンガーの場合は、買いたいと思える株価に値下がりするまで何年も待つことがあると言います。
ITバブルの頃には、1990年代の株価急上昇では株を購入せず、バブルが崩壊した2003年まで何年も待ったようです。
90年代後半にインターネット・バブルが沸き立ったときには、マンガーとバフェットは、株式市場で新たな銘柄を探すのを諦めざるをえなかった。二人が再び魅力的な銘柄を見い出したのは2003年になってからだった。
デビッド・クラーク著 『マンガーの投資術』
以下でITバブル期のS&P500の株価のグラフを載せましたが、2003年は投資を再開させるには最適なタイミングでした。
1990年代後半の大きな株の上昇局面では、まわりが儲けている話がたくさん聞こえてくる中で、自分はほとんど儲からずにチャンスが来るまでじっと何年も待つのは、とても忍耐が必要だっただろうと思います。
ただし、何年も待ったことで、2003年の安い株を大量に買うことができるチャンスに恵まれたようです。
さいごに
この記事では、長期投資に必要な「待つ」という要素に触れました。
多くの人は待つことが得意ではないので、チャンスが来るまで待ち、保有してからも価格が上がるまで待てる投資家は、それだけで他の投資家を上回る素質が十分にあると思います。
今は2020年の年末ですが、最近は例年になく強気な投資家が多いようで、株価がかなり高くても買いたいという意欲を投資家から感じます。
私のITバブル知識はほとんど本から得たものでしかないのですが、最近の株式市場は、少しそれに近づいているように感じます。バフェットやマンガーを見習うなら、今後は良い銘柄を見つけても買える株価になるまで何年か待つ必要が出てくるかもしれません。