2020年はほとんど利益を生んでない企業でも、株価が好調なものがかなり多く見られました。
この年に注目されたリモート関連銘柄も、電気自動車銘柄も、新規に上場した株も生み出している利益以上に株価が大きく上昇しているものが目立った印象があります。
もちろん将来的に大きな利益(フリーキャッシュフロー)を生むことを期待して、投資家はこれらの株を買っているわけですが、期待に通りの利益上昇が実現できない場合には、次第に株価が下落していくことになります。
この記事では、投資家にとっては当たり前なこの結論を1900年代から2000年代までの米国株S&P500のデータを使って、検証していきます。
この記事のポイント
- 投資家が株で儲けるためには、「配当」「利益成長による株価上昇」「PERによる株価上昇」の3つがある。
- 上記3つのうち、長期的に何が株主の儲けに貢献したかを100年分のS&P500のデータで調べると、そのほとんどは「配当」と「利益成長」によるものだった。一方、「PERによる株価成長」は長期的にはほぼ何も貢献しなかった。
- 2020年の人気銘柄は利益成長なくPERによる株価上昇が続いているが、この儲けは長期的には株主の手に残らずに消える。今後期待に見合った利益上昇がなければ、株価は下落することをデータは示している。
投資のリターンを分解
投資家が株で儲かる方法は、大きく分けて「配当で儲けるか」「株価上昇で儲けるか」の2つがあります。
また、2つ目の株価上昇が起こるためには「企業の一株利益が上がるか」「投資家の評価や人気が高まって、PER(一株利益あたりの株価)が上昇するか」に分解できます。
以上の話をまとめると、次の3つの要素のどれかが起これば、投資家は株で儲けられることになります。
投資家が株で儲かるための要素
- (1)配当をもらう。
- (2)一株利益が上がって株価が上昇する。
- (3)(人気銘柄になる等で)PERが上がって株価が上昇する。
長期的に株主のリターンに貢献する要素は何か
では「上の3つのうち、長期的に株主の儲けに一番貢献してくれるものはどれか」を調べてみましょう。
1900年代から2000年代までの米国株(S&P500)のデータを使いますが、このデータは以下の本に記載の表を元にしました。
その集計結果がこちらです。
結論としては、長期的に株主の手に残る儲けはほとんどが「(1)配当」と「(2)利益による株価上昇分」から来ることがわかりました。
「(3)PERによる株価上昇」の項目をみると毎年0.3%分の上昇にしかならず、人気を集めて株価が上昇したとしてもその上昇分は長期的にほとんど消えてしまうことがわかります。
つまり、人気銘柄になって株価が上がったとしても、株価の上昇ペース以上に利益を成長させないといずれ株価は下落するとデータは言っています。
さいごに
2020年は利益成長がないまま株価が上昇する銘柄が多いですが、将来的に企業が利益を生み出さないと株は下落することをデータを使って見てきました。
このブログを読んでいる人は中長期投資家の人が多いと思うので、私を含めて中長期投資家の人がこの記事のデータから得られる教訓を最後にまとめておきます。
- 一株利益の成長が続く企業を選んで投資をする。
- 配当もあったほうが嬉しい。
- PERは一時的に上昇してもいずれ平均に戻る傾向があるので、過去の平均よりもPERが高い時期の投資は警戒する。逆にPERが過去の平均よりもかなり低い場合には、PERが平均に戻る時期で株価上昇が期待できる。
配当もあれば嬉しいですが、その配当も結局は企業の利益の中から株主に配分されているので、結局一番大事なのは一株利益の成長だと言えるかもしれません。
以前、このブログでは以下の記事で一株利益ではなくフリーキャッシュフローが伸びている企業を選ぶことが大事と言いましたが、要するに儲けが成長していればどちらでも良いと思っています。
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