この記事を書いている2020年12月時点では、株はやや割高になっています。
米国株が調子を崩すまでにまだ1-2年の時間があるだろうと思って私は投資を続けていますが、数年後には30%以上下落してもおかしくないと思って警戒はしています。
でも、これから投資をはじめようか迷っている人が「下落するかもしれないなら、やっぱり投資なんて手をださないでおこう」というのも、違う気がします。この先に下落があったとしても、長い目で見れば投資を全くしないよりはやったほうが良いです。
このニュアンスは言葉で説明すると伝わりづらいですが、数字にするとハッキリ違いが現れます。
普通は株に長期投資した場合は毎年約8%のリターンが得られるはずなのに、2020年12月時点では割高なので、米国株を購入したとしても年率で約6%程度しかリターンが得られない難しい状況になっています。
でも、わずか6%でも投資を全くしない人生を送る場合の投資リターン(ゼロ%)よりはずっと良いです。
この記事のポイント
- 2020年12月時点で、米国株はかなり割高で数年以内に20-30%下落しても不思議ではない。それでも長期で考えるなら、全く投資しないよりは割高でも少しは投資したほうが良いと思っている。
- 株を買った場合には普通なら長期リターンは年率で8%リターンが得られる。2020年は割高のせいでわずか年率6%のリターンに減っているが、それでも投資をしないゼロ%よりはずっと良い。
このブログを読んでいるのは既に投資をしている人ばかりだと思いますが、これから投資をしようか迷っている人が周りにいたら、無理をさせない程度に「今は割高でも、少額なら長期で投資しても悪い話ではない」と言ってあげるのが良いと思います。
2020年の米国株の期待リターン
まず、2020年に米国株に投資したとしても、リターンが小さいことを数字で確認していきます。
米国株の研究で有名なジェレミー・シーゲル教授は、予想PERという数字を使って、長期的な株のリターンを計算する方法をよくやります。今回はシーゲル教授の方法で、株の長期リターンを計算していきます。
PERを使った株の長期リターンの求め方
- 株の長期投資リターン = 1÷(予想PER) + インフレ率2%
ウォール・ストリート・ジャーナルで調べると、この記事を書いている時点で予想PERは約25なので、2020年12月時点で買った株の長期的なリターンは約6%くらいになります。(1÷25+2%を計算すると6%になります)
これは株の投資リターンとしては、かなり低いです。
過去10年の平均の予想PERは約15なので、普通なら長期で期待できるリターンは約8.6%になるはずです。(1÷15+2%を計算すると8.6%になります)
2020年12月に米国株を買った場合は通常よりも2%以上もリターンが小さくなってしまいます。
たかが2%、されど2%
毎年2%のリターンの差がでることは、想像以上に大きいです。
試しに100万円を年率8.6%と年率6%でそれぞれ30年間運用してみると、資産額は倍以上も差が開いてしまいます。
ここまでの話をまとめると、2020年12月の株価はやや割高で、今の価格で米国株を購入したとしても長期リターンは通常よりも約2%ほど下がってしまうので、あまり大きなリターンを期待できないことがわかります。
投資を全くしないのではリターンはゼロ%
ここまで来ると、「2020年は割高で近々下落するかもしれないなら、投資はやめておこうかな」という考えは、あまりに保守的な考えであることがわかります。
投資をしないことを選択すると期待リターンはゼロ%ですが、2020年に米国株を買った場合の長期期待リターン6%を大きく下回るからです。
長期リターンの比較
- 通常:長期の期待リターンは8.6%
- 2020年:割高なので、長期リターンは6.0%まで低下
- 投資をしない:期待リターンはゼロ%
これから投資する人にとっては下落が怖いのは理解できますが、そのまま「投資をしない」を選択し続けると、資産を大きくする機会を逃し続けることになります。
なので、2020年は割高だと言っても、今から少しでも投資を初めておいたほうが良いことがわかります。
最後に
2020年は割高で、今から投資していも長期的に期待できるリターンがかなり小さいということを、数字を使って見てきました。しかし、期待できるリターンはゼロ%よりはずっと大きいので、投資を全くしないよりは、多少はしておいたほうが良さそうです。
ただ個人的には、2020年の状態で全力投資はあまりオススメしません。しばらく何年か投資していたら、景気が良くなるか、株価が下落するかのどちらかで割高感は解消されて期待リターンも回復するはずなので、そうしたら温存していた資金で追加投資すればいいです。
または少しだけ視点を変えて、米国株以外も投資対象として検討するのもありです。
世界の株の割高感を見てみると、イギリス株と新興国株まだそこまで割高ではないので、投資の対象として検討するのも良いと思います。