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特別な銘柄を買えば高いリターンを得られる、という誤解。

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私が投資の初心者のうちに、ずっと思っていたことがあります。

「世の中にはある優れた銘柄があって、それを保有していれば儲かるんだ。」

「偉大な投資家が持っている銘柄は優れているはず。それを保有していれば、高いリターンが得られるはずだ。」

こう考えていた人は、たぶん私だけではないはずです。

保有すれば高いリターンが得られる特別な銘柄があると思っているからこそ、「おすすめの銘柄を教えて下さい」という質問をよく聞くのだろうし、それにウォーレン・バフェットが保有する株はバフェット銘柄と呼ばれて人気が出ます。

でも、バフェット銘柄など有名投資家が長期保有している銘柄を買ったことがある投資家は、数年も経たずにあることに気づきます。偉大な投資家が長期で保有している銘柄を真似して保有したってそう簡単にうまくいかないんだ、と。

この記事では、投資の初心者ほどおちいりがちな「優れた株を買えば、高いリターンが得られる」という考えはあまり役に立たないことを、私のコカ・コーラ株への投資の例を踏まえて紹介します。

結局何が投資のリターンを決めるかというと、「いかに割安な時に株を購入できたか」だと思っています。

この記事のポイント

  • バフェットは1988年からコカ・コーラ株に投資してS&P500を大きく上回るリターンをあげていることを知り、私も2013年にコカ・コーラ株に投資した。
  • しかし、2013年以降の私のコカ・コーラ株のリターンはS&P500を下回っていて、良いリターンとは言えない。
  • このリターンの違いは、割安時に買ったかどうかが大きい。バフェットは1988年に45ドルでコカ・コーラ株を買っているが、ある調査によれば、バフェットが買った価格は本質的価値よりも48%も安かったと言われている。

バフェット銘柄のコカ・コーラを購入した体験


私は2013年から米国株の投資をはじめましたが、この年に真っ先に購入したのがコカ・コーラ株でした。

ウォーレン・バフェットが購入していた銘柄だと知っていたので、偉大な投資家が買っている銘柄なら高いリターンが得られるだろうと考えていたのです。

バフェットは1988年にコカ・コーラ株を買い始めたのですが、私も真似して購入する前年(2012年)までは、コカ・コーラ株はS&P500を上回るかなりの高い年率リターンをあげていることが下のグラフを見てもわかります。

そして、期待を胸に私も2013年からコカ・コーラ株を購入するわけですが、2013年から2020年7月までのコカ・コーラ株の年率リターンがこちらです。

残念ながら、投資前に夢を見ていた姿とは違い、S&P500に大きくリターンで遅れを取っています。

幸い少額をコカ・コーラに投資後にしばらくしてから「あれ、なんか変だな」と感づいて追加投資をしなかったので、コカ・コーラ株の低リターンが資産全体に与えた影響は小さく済みました。

しかし、優良企業のコカ・コーラへの投資の一体何が悪かったのでしょうか。

48%割安な状態でコカ・コーラ株を買ったウォーレン・バフェット

バフェット銘柄の投資の失敗の原因を探って、いろいろと調べていると面白い記事を見つけました。

>>Coca-Cola’s Valuation, Warren Buffett’s 1988 Purchase

この記事には、次のような興味深いことが書いてあります。

1998年にバフェットはコカ・コーラ株を約45ドルで購入したと推測されるが、当時のコカ・コーラ株の本質的な価値を計算すると85.99ドルとはじき出された。つまり、バフェットは48%も割安な価格でコカ・コーラ株を取得したようだ。

コカ・コーラが良い企業なのはもちろんですが、バフェットのリターンの高さは優良な企業を『割安な価格で買えたこと』が重要なカギになっているようです。

2013年に米国株に手を出したばかりの初心者の私が、バフェットと同じ優良企業に投資しておきながらリターンに大きな差が出たのは、「本質的価値を計算して、割安だと判断できる能力」がなかったためだと、今ならよくわかります。

割安な株を買うことの大事さが理解できたおかげで「良い企業に投資しているから、高いリターンが得られるはずだ」という考えは、今では1ミリも未練なく捨てることができました。


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