エヌビディアの決算が発表されたので、振り返ってみます。結果は良かったです。
今回の決算で特に目に止まったのは、データセンター向けの半導体の業績です。前年比で売上+167%の成長は、前年がかなりの不調だったことを考慮にいれても好成績です。
2019年前半まで半導体業界は不調でしたが、2019年後半から業績が回復している恩恵を特に強く受けています。私は2019年にエヌビディアを手放していたのですが、結果的にこれは判断ミスでした。
2020年は半導体の需要が高まっているサイクルの中にいるようで、エヌビディア以外にもインテルやAMDなどの半導体の決算を見てもデータセンター向けの出荷が伸びています。
今後半導体業界に投資する際には半導体の好不調の波にも気を配りながら、投資していきたいと思います。
この記事のポイント
- エヌビディアの20年5-7月決算は収益も利益もアナリスト予想を超える好決算だった。
- 新型コロナウイルスの影響を受けて企業に出荷されるクリエイター向け半導体や、自動車向けの半導体の売上はかなり減少した。
- しかし、主力事業のデータセンター向け半導体の出荷が前年比で167%で成長した他、ゲーム向け半導体も好調だったため売上が大きく成長した。
2020年5-7月期決算
収益も一株利益もアナリスト予想を超える結果になりました。
- (調整後)一株利益:2.18ドルで、予想を0.21ドル上回った。
- 収益:$37.8億ドルで、予想を2.1億ドル上回った(前年比+50%)
単位:10億ドル | 21Q2 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $3.9B | +50% |
営業利益 | $0.65B | +14% |
純利益 | $0.62B | +13% |
一株利益 | $0.99 | +10% |
今期は特に収益が好調で、前年比で+50%で大きく成長しました。前期の+39%成長と比較しても、成長が加速していることがわかります。
売上や利益のグラフを見ていてもわかるように、2019年の不調から力強い回復を遂げた印象があります。
そもそもエヌビディアにかぎらず、半導体業界は2018年から2019年前半にかけてかなり低迷していましたが、その低迷の谷は脱したようです。
インテルやAMDなどの決算を見ても2020年は立て続けに好成績を上げているので、業界全体で追い風が吹いているようにも思えます。
部門別売上
さて、今回の好調の要因を追いかけるために、部門別の業績を確認していきます。
以下の前年比成長率を見ると一目でわかりますが、売上規模の大きい「データセンター向け半導体」と「ゲーミング向け半導体」の2つが今期は好調でした。
特にデータセンター向けは前年比+167%で成長していて、今までエヌビディアの主力事業だったゲーミング部門を売上規模で抜いています。
エヌビディアの部門別業績
半導体部門 | 収益 | 構成比 | 前年比 |
---|---|---|---|
データセンタ用半導体 | $1.75B | 47% | +167% |
ゲーミング用半導体 | $1.65B | 44% | +26% |
プロクリエイター向け半導体 | $0.20B | 5% | -30% |
自動車用半導体 | $0.11B | 3% | -47% |
部門別売上に2位に交代したゲーミング部門も不調だったわけではありません。
新型コロナウイルスで家で楽しめるエンターテインメントとして、ゲームが脚光を浴びたたためゲームPCやそのためのエヌビディアの半導体の需要が高まったため、今期も+26%と成長していました。
それでも、データセンター向けのほうが好調だったようです。エヌビディアの半導体はAIなどの多くの計算処理が必要な分野で人気があり、アマゾンのクラウドサービスAWSなどにも積極的に出荷していて、業績を伸ばしています。
一方で、プロのクリエイター向けに作られた高性能な画像処理ができるデスクトップPC用の半導体と、自動車用の半導体の業績は新型コロナウイルスの影響で企業が支出を絞った影響で低迷したようです。
しかし、低迷した部門はいずれもエヌビディアの主力部門ではなかったため、今期の業績は好調を維持しています。
エヌビディア購入のタイミングは気長に待つ
好調な業績以上に、絶好調なのがエヌビディアの株価です。
2020年1月からの株価上昇率は+100%を超えていて、株価は2倍になっています。
以前からこの銘柄を信じて保有していた株主は今もエヌビディア株を持っていたとしても、すでに割高に見える株をこれから手を出すのはなかなか難しいです。
AI領域で活躍する半導体は今後も需要が強いので良い会社だとは思いますが、買い急いで高値を掴んでしまうのも厄介です。
半導体は数年ごとに在庫の波があり好不調に波があるとも言われているので、半導体業界全体の好不調の波を見ながら、次の不調の時期が訪れたら買いを入れようかとも思っています。
長期投資家なので、2019年の低迷期のように「少し割安になったな」と思える時期がくるまで数年間、気長にゆっくりと待ちぼうけでもするつもりです。
それまでに、半導体の「在庫サイクル」や「シリコン・サイクル」と呼ばれているこの業界の規則性についても勉強しておこうと思います。