世界でもっとも深刻なペースで拡大しているアメリカで新型コロナウイルスですが、最近は感染拡大のペースを抑えることに成功しつつあるデータが出てきています。
6月中旬から7月上旬にかけての感染拡大ペースが続けば、再度厳しいロックダウン(都市封鎖)になる都市がアメリカで出ると考えて投資資金の一部を残してきましたが、ロックダウンの可能性はわずかに下がりつつあります。
今後はロックダウンではなく、経済再開と再規制を行き来する景気回復と低迷が長続きする展開のほうがシナリオとして有りえそうです。ロックダウンの株下落に備えていた資金の一部で、比較的割安な銘柄を探して購入するのも良い気もしてきています。
この記事のポイント
- アメリカでの新型コロナウイルスの感染拡大のペースは7月後半から鈍化している。
- 感染拡大が見られた州のマスクの着用義務化や、映画館やバー・レストランの規制解除延期や再規制などの対策が効果を上げた模様。
- 感染拡大が続けば、強い外出規制がかかる都市もあると思われたが、今後は経済再開と再規制の間を行ききし、景気回復と低迷が繰り返されるシナリオがメインになるかもしれない。
感染拡大ペースが改善しつつあるアメリカ
7月下旬になって、アメリカは新型コロナウイルスの感染拡大のペースを下げることに成功しつつあります。
依然としてアメリカは世界一の感染国ですが、7月後半からは検査数を増やしている一方で陽性率はわずかに下がり、新規感染者数の伸びは頭打ちになってきています。
感染拡大が見られた州でマスクの着用の義務化や、映画館やバー・レストランの規制解除延期や再規制などの対策が効果を上げているのかもしれません。
7月以降1日の新規感染者数が1万人を超えることも珍しくなかった感染拡大の中心だったフロリダやテキサスでは、減少傾向が見られ始めたのも良いニュースです。
メインシナリオの変更
7月に厳しい外出規制が再度かけられる都市が出始めて、その影響で株価にも悪影響がでる可能性が高いはずだと、私はつい最近まで考えていました。
6月中旬からの1ヶ月でアメリカの新型コロナウイルスの新規感染者は3倍に増えて悪化の一途をたどっていたので、ワクチンを開発して投与するまでの時間稼ぎのために、再度ロックダウンが必要になると考えていたからです。
ロックダウンの可能性はまだありますが、感染拡大を抑え込みつつある状況に変わってきたので、自分の中のメインシナリオは「複数都市のロックダウンからの株価下落」よりも、「経済再開と規制再導入の繰り返しによる景気回復と低迷の繰り返し」に変化しつつあります。
7月半ばの決算発表でコカ・コーラCEOは、先行き不透明だがおそらく4-6月が最悪期だったと後で分かると思うと話をして、最悪期の脱出宣言をしていましたが、その可能性はありえます。
コカ・コーラCEO、最悪期は脱した【20年4-6月期決算】
コカ・コーラの20年4-6月期決算は予想ほど業績が悪化しませんでした。また、コカ・コーラのCEOは「先行きはかなり不透明だが4-6月期がもっとも困難な時期だったと後で分かるだろう」と発言しており、最悪期は脱したと認識を示しました。
シナリオ変更による投資への影響
個人的にはロックダウンが起こった場合の株価下落に備えて、いくらか投資資金を温存していましたが、警戒を少し緩めても投資機会を探しても良い気がしてきました。
投資行動への影響
- 再ロックダウンの株価下落に備えていた資金は、その必要性がやや薄れた。
- 現金待機ではもったいないので、有望な投資先を検討する必要がある。
- 投資先はまもなく登場する可能性があるワクチンで恩恵が失われるコロナ銘柄ではなく、株価回復が遅れている銘柄を探したほうが良さそう。
- 一方で、過去のパンデミックのように秋から冬に再流行するかもしれないので、投資資金は一部残しておく必要もある。
問題は一部の現金でどんな投資をするかです。
私は長年IT業界やその周辺で仕事をする機会が多く、慣れ親しんだIT銘柄への投資は業界や企業の研究の苦労もなくできるのですが、IT銘柄はコロナの影響を受けにくかったこともあって、割高なものが多いです。
また、近年伸びていたクラウド業界の流れに乗るにしても、世の中の企業の業績が悪化してクラウド投資の勢いが減速すれば、マイクロソフト・アマゾンなどの順風満帆な企業でも利益が伸び悩む恐れがあります。
コロナで株価回復が遅れている銘柄で、不況にもある程度強い銘柄を探したほうがいいのかなと感じています。
理想的なイメージはレストラン業界のマクドナルドのように、コロナでは業界全体でダメージを受けていたものの、通常の不景気なら程度強い銘柄です。マクドナルドはリーマンショック時でも、ほとんど価格が下落しなかったことで有名な銘柄です。
マクドナルドを超える銘柄。リーマンショックを耐え抜いた企業達
マクドナルドはリーマンショック時に大きな下落をせずに耐え抜いた銘柄として有名です。しかし、他にはマクドナルドのような下落に強い銘柄はないのでしょうか。S&P500の約500社の全ての銘柄を対象に、リーマンショック時の株価下落率を調べました。
ただし、マクドナルドは既に最高値から10%の下落まで株価が回復しているので、そこまで割安ではない気がします。購入前に割安かどうかの調査は必要になりそうです。
時点で候補にあがるのは、長引く不景気のなかで米政府が大量の借金をして財政赤字(ドル安)になることを見越して、ゴールドを買うことです。
最近のゴールドは歴代最高値の1オンス1930ドルに迫っていて、最高値を超えれば一段高になる可能性もあります。