毎月数千円からネットショップを開くことができるサービスを提供しているショッピファイの1-3月期の決算がしばらく前にありました。
結果は良かったです。収益も利益も予想を超えたほか、新型コロナウイルスのマイナスの影響は殆ど見られませんでした。
むしろウイルスの流行の流れを受けて、実店舗は次々とネットでの販売に力を入れ始めていて、ショッピファイのようなサービスが注目をますます集めるようになっています。
新型コロナウイルス銘柄だと思いますが、新型コロナウイルス後もアマゾンに次ぐ全米2位のネットショップサービスの提供者として存在感を示す企業だと思っています。
この記事のポイント
- ショッピファイの決算は利益・収益ともに、事前のアナリスト予想を超える良い結果だった。
- この企業の魅力は高い収益成長率。今期も前年比+47%と高い成長率をキープした。
- 新型コロナウイルスで実店舗の営業が制限される中、気軽にネットショップを始められるサービスとしてショッピファイは注目を集めている。
ショッピファイとは
「そもそもショッピファイってどんな企業だろう」という人も多いと思いますので、紹介をしておきます。
ネットショップを簡単に作成できるようにするサービスを提供している企業で、約3000円/月からネットショップサイトを作ることができます。
ネットで品物を売る場合にはアマゾンに出品する方法も考えられますが、この場合の問題点としては消費者が「アマゾンで買い物をした」と認識していることが多く、自分のお店のブランドが育たないことが挙げられます。
実店舗ではブランド力がある企業の場合でも、アマゾンに出品すると他の企業のブランドに埋もれてしまう恐れがあるので、最近は企業の出品はアマゾンではなく、ショッピファイなどで手軽に作成した自社だけの商品を取り扱うサイトが増えています。
2019年時点でショッピファイはネットショップ売上高でアマゾンに次ぐ全米2位に位置していて、アマゾンよりもずっと成長率が高いことから、投資家からも注目が集まっています。
新型コロナウイルスが流行してから、ますますこの企業は注目を集めているように思います。
例えば、チョコレートのリンツは新型コロナウイルスが流行する中でも売上を確保するため、ショッピファイを活用してたった5日で新しいネットショップを開いたといいます。
>>Lindt opened its first ecommerce store in 5 days to serve customers in a COVID-19 world
2020年は新型コロナウイルスの流行して多くの実店舗の営業が制限されている中で、小売店は続々とネットショップでの販売を強化する動きがあり、ショッピファイに追い風が吹いています。
2020年1-3月結果
ショッピファイの決算はかなり良かったです。利益も収益もアナリストの事前予想を上回る好決算を出すことができました。
- 一株利益:0.36ドルで、予想を0.36ドル上回る。
- 収益:4.7億ドルで予想を2708万ドル上回る(前年比+46.7%)
単位:100万ドル | 20Q1 | 19Q1 |
---|---|---|
収益 | 470 | 320 |
営業利益 | -73 | -36 |
純利益 | -31 | -24 |
一株利益 | -0.27 | -0.22 |
さすがに、数年前まで見られていた収益の高成長は落ち着きつつありますが、前年比+46.7%でまだまだ高い成長を維持しています。
時代の波に乗るショッピファイ
もちろんショッピファイも新型コロナウイルスからの悪影響が全く無いわけではありません。
ショッピファイのユーザの多くは小規模で資金力も多くないお店のため、ショッピファイが提供しているサービスの一部をユーザが解約したり、毎月定額でショッピファイに支払っている料金プランもより安いものに切り替えたりする動きが一部で見られているようです。
決算発表の電話会議では、まさにこの点をグッゲンハイム証券のアナリストが経営陣に質問をしていました。
この点に関してショッピファイは「安いプランに切り替える動きは一部では見られているが、ショッピファイ上にとどまっているためユーザは他社に流れてはいない。一部のユーザは既にもとの高いプランに戻す動きもある」と回答してます。
人々の購買行動はネットに移行
新型コロナウイルスによる売上の悪影響がないわけではないですが、時代はショッピファイにかなり味方をしているようにも見えます。
最近明らかになった米国での小売データを1つ見てみます。
4月の米国の小売売上高は前月比でマイナス16.4%と急速に低迷しましたが、カテゴリ別の売上を見ると唯一オンラインショップだけは売上高が上昇していました。
ネットでの販売の動きは加速することがあっても、減速することは無いと思います。
本来ならもっとゆっくりと実店舗からネットへの動きが進むと思われていましたが、今回の新型コロナウイルスをきっかけにして、小売店の経営者達はネットでの販売を今まで以上に意識するようになったはずです。