ドイツは2期連続でGDP成長率がマイナスに低迷したため、景気後退(リセッション)入りが確定しました。
ドイツは2019年後半にはリセッション入りすると私は予想していたのですが、ずっと持ち堪えていました。この国は底力があるのだと思います。
このブログではドイツのリセッション入りを含めて、2019年9月の時点で今後世界で起こることを予想した以下の記事を書いているのですが、ほとんど実現したと思います。
今後のアメリカを中心とした世界経済で起こる9つのこと。
これから先、アメリカを中心とする世界の経済で起こることを予め書いておこうと思います。これらはアメリカと中国貿易戦争を過熱しようが、休戦しようが起こります。関税を掛け合う貿易戦争は、景気後退の根本原因ではなく、お互いの国の景気サイクルの時計の針を早めているだけだと考えているからです。
まだ実現していない項目もいくつかあるのですが、この時点で予想とどれだけ一致しているかを点検していきたいと思います。
世界の景気後退予想はおおむね実現
まずは2019年9月時点で予想した内容と現時点の進捗を振り返ってみます。「DONE」と書いている項目は既に実現した項目です。
2019年9月時点の予想
- (1)ドイツ、景気後退入り:DONE
- (2)ヨーロッパECB、金利引下げと量的緩和を再開:DONE
- (3)中国、景気減速し毎年のようにGDP目標値を大幅引き下げ:DONE
- (4)アメリカ、景気後退前に株価が上昇してピークをつける:DONE(2020年2月にピーク)
- (5)アメリカ、景気後退入り:(未実現だが、2020年4-6月期でのリセッション入りほぼ確実)
- (6)アメリカ、景気対策のためにゼロ金利まで下げ、量的緩和を開始:DONE
- (7)アメリカ、国債が買われあらゆる年限でマイナス利回りになる:(未実現)
- (8)アメリカ、景気後退脱出後も日本のような低インフレ時代に突入:DONE。(2020年3月から消費者物価マイナスでデフレ突入)。
- (9)アメリカをはじめとする先進国大規模な財政出動により、低インフレ時代を終える:(未実現。ただし、2020年3月以降に世界中で大規模財政出動を開始し始めた)
だいたいほぼ全て、実現しているか実現する兆しが出ています。
(6)の金利がマイナスになる予想に関してはまだまだ実現しなさそうです。しかし、グッケンハイムのスコットメイナード氏は2021-2022年にも米国でも長期金利がマイナスになると予想しているので、それほど的外れの予想でもなさそうです。
世界中の景気後退を予想した背景
予想をしていた2019年9月時点では、新型コロナウイルスが流行して経済に大打撃を与えるとは思っていませんでした。
そもそも2019年9月を振り返ると、当時の世の中の関心事は米国と中国の貿易を巡る対立でした。
しかし、貿易協議や新型コロナウイルスなどの数年で過ぎ去ってしまう一時的な出来事は無視して、もっと大きな視点で景気の流れを見ると、遅かれ早かれ、どんな理由であれ、世界的な景気後退はやってきたのだろうと思います。
世界的な景気後退を予想した背景は、経済大国1位米国と2位中国がともに低迷する時期に来ていたからです。
米国は2010年代の景気回復が既にピークをつけていた上に、中国は生産年齢人口が減少に転じてGDP成長率が減速しやすい局面にいました。
既にピークをつけていた米国
2020年2月まで上昇し続けている米国株のグラフを知っていると意外に聞こえるかもしれませんが、米国企業の利益は2014年をピークに減少していました。
ハイテク業界の一部の企業は売上も利益も伸ばしていたので株価指数は2020年2月まで伸びましたが、企業全体を見るとピークはとっくに過ぎていたと言えます。
生産年齢人口が減少に転じていた中国
GDPは生産年齢人口(15-65才の人口)と生産性で決まるので、生産年齢人口の伸びが止まって減少に転じると、たいていの国で大きな景気の低迷が訪れます、
日本ではこの時期にバブル崩壊、米国でサブプライムローン・リーマンショックを引き起こした金融危機が起こりました。
国 | 生産年齢人口ピーク | 不景気 |
---|---|---|
日本 | 1989年 | 1991年(バブル崩壊) |
アメリカ | 2005年 | 2007年(サブプライム) |
以下が中国の生産年齢人口の推移ですが、2012年頃にピークをつけていたので、一度は大きな景気の低迷が来てもおかしくない時期に来ていました。
米国と中国の景気の低迷を最もいち早く受けるのは、2つの国に大量に車などを輸出をして経済を回しているドイツだと思い、ドイツ経済にも注目していました。
そして予想よりも遅くなったものの、2020年5月にドイツも景気後退入が確定したというのが現時点の状況です。
想定外だったこと
ただし、予想外の出来事もいくつもありました。
予想と異なる点
- 景気のサイクルでゆっくりと世界の景気が低迷すると思っていたが、パンデミックで経済が停止するという想定外の事態になった。
- 思っていたよりも早く、大規模な財政出動が始まった。
一番の予想外はパンデミックで景気後退になったことです。
約10年に一度くらいの頻度で不況が訪れるサイクルの流れで、ゆっくりとリセッションが訪れるのかと思ったのですが、突然の新型コロナウイルスの流行で経済が急減速することになりました。
もともと不況が来ると思って守りの投資をしていたので、急に景気が悪くなることは良いのですが、問題は株価の低迷を脱出するための大規模な財政出動(景気刺激策)が思っていたより早く始まって、株価がすぐに上昇に転じてしまったことです。
景気は長く低迷するのに株だけが下げ幅を縮めて、せっかくためていた投資資金を投入する機会をことごとく米政府に奪われてしまったは残念でした。
ただ、どんな状況でも投資できるチャンスはあるはずなので、今の状況でもできる投資を探していきたいと思います。
個人的には、新型コロナウイルスをきっかけにして起こった景気の低迷は長いこと続くと思っているので、以下記事で紹介した新型コロナウイルス後でも業績が変わらずに伸び続けている銘柄に注目してポートフォリオを組みたいと思っています。
S&P500の上昇が止まった理由。新型コロナでも業績が伸びた銘柄
新型コロナウイルスの危機を経て3月23日から米国株は上昇していたのですが、最近は株価の伸びが止まっているように見えます。この理由を解説しつつ、そんな環境でも業績を伸ばしている銘柄を紹介します。