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経営が安定している米国企業一覧【財務データ調査5000社分】

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現在アメリカでは新型コロナウイルスの影響で、多くの企業で事業活動が制限されたり、ストップしたりしています。

このような事業が継続できない環境では、いつどの企業が経営難になるのか注意する必要があります。

前回の記事では、経営に難がある企業を見分けるためには、どんなデータをみれば良いかを、デルタ航空を例に考えていきました。

>>【前回記事】バフェットが一部売却したデルタ航空の財務データを点検してみる。

しかし、それだけでは片手落ちです。

目の前の1つの企業の経営が危ないかどうかを判断できるだけではなく、数ある企業の中からどの企業なら安心して投資できそうかも知っておく必要があります。

この記事では、前回の記事で紹介した経営難を探す3つの基準を使って、アメリカの企業5,000社の財務指標のデータを調べ、財務状態が健全と思われる企業をリストアップしました。

この記事のポイント

  • 「手元に現金があるか」「返済の利息に対して、十分な利益が出ているか」「債務が多すぎないか」の3つの視点で企業の財務体質をチェックした。
  • 有名な企業で、財務体質が健全と思われるものをリストアップした。
  • 調べた5,000社分のデータを記事の末尾に掲載した。

新型コロナウイルスの影響を受けて一時的にダメージを受けたとしても、倒産せずに存続しつづけ、この不況でも事業に必要な資産を手放さないで済む健全な資金繰りをしている企業を見つけて投資すれば、今後の業績の回復が期待できるはずです。

企業の財務が健全かどうかの基準

企業の資金繰りが健全かどうかの調べ方は、さまざまあります。

ここでは、「利息の支払いに対して十分な利益が出ているか(Current Ratio)」、「支払いのための現金が十分にあるか(Interest Coverage)」、「債務が多すぎないか(Debt to Equity)」の3つの指標を使って、企業の資金繰りに問題がないかを見ていきます。

財務体質が健全かどうかの確認方法

  • (1)現金が十分にあるか:Current Ratio(CR)が1以上なら健全。
  • (2)利益が十分にあるか:Interest Coverage(IC)が3以上なら健全。
  • (3)債務が多くないか:Debt to Equity(D/E)が3以下なら健全。

基本的に、前回のデルタ航空の資金繰りを確認した時と同じ方法です。ちょっとした違いが2点ほどあるので、念の為注意点を記事の末尾に書きましたが、たいして重要ではないので読み飛ばして問題ありません。

財務が健全な有名企業


さて、上の基準を満たす企業を探すために、アメリカ企業の5,000社ほどの財務データを調べました。

上の3つの条件を満たす企業は結構な数があるのですが、その中には企業規模が小さいために債務が少ない中小企業が多数含まれてしまうので、日本からでも投資できるような有名な企業をピックアップすると以下の表のようになりました。

※以下、表がスマホで読みにくい場合は、画面を横にすると少し見やすくなります。(見づらくてすみません)

財務が健全な有名企業

シンボル 企業名 CR
現金
IC
利益
D/E
債務
AAPL アップル 1.60 32.57 2.80
ACN アクセンチュア 1.38 173.80 1.17
ADBE アドビ 1.23 28.39 1.03
AMD AMD(半導体) 2.10 7.75 1.41
AMZN アマゾン 1.10 8.53 2.63
COST コストコ 1.04 37.24 1.94
CSCO シスコ 1.70 20.11 1.69
EMR エマソンE(電機メーカー) 1.19 21.48 1.49
FB フェイスブック 4.40 442.90 0.32
GILD ギリアド(製薬) 3.10 4.50 1.74
GOOGL グーグル 3.37 545.06 0.37
H ハイアット・ホテル 1.41 3.72 1.16
INTC インテル 1.40 62.94 0.76
JNJ ジョンソン&ジョンソン 1.26 47.18 1.65
KSU カンザスシティS(鉄道) 1.48 7.42 1.21
MSFT マイクロソフト 2.80 21.24 1.57
NDAQ ナスダック(取引所) 1.01 9.63 1.47
NVDA エヌビディア 8.42 77.25 0.41

グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなど、見るからに安定してそうな企業名がズラズラと並びます。

その他、派手さは無いもののアクセンチュア、コストコ、証券取引所を運営するナスダックなど、長期的に株価を伸ばしている企業も見られます。

そんな中でも、他に比べてやや不安を覚えるのは、新型コロナウイルスの影響を強く受けているホテル業界のハイアット・ホテルです。

ホテル業界の大手には、マリオット・ヒルトン・ハイアットなどがありますが、過去10年のリターンは確かハイアットがこの3社の中で最も低いのですが、手元に残している現金比率の割合は最も多く、債務比率も抑えていたようです。

新型コロナウイルスが猛威を奮ってホテル業界がどの程度影響を受けるのか、かなり警戒が必要ですが、財務の健全性はハイアット、ヒルトン、マリオットの順に高くなっています。

米国企業の財務データ


最後にせっかくなので、今回調べた5,000社分のデータへのリンクも載せておきます。

>>【全データはこちら】米国企業5000社分の財務KPIデータ一覧

既にお話したように、財務が健全かを調べる3つの条件を満たす、中小企業や収益性の低い企業までリストアップされてしまうので、そもそも調べる対象企業を、事業規模や収益性で絞っておくべきだったと反省していますが、ここでは調べた企業のデータをそのまま掲載しました。

なお、以下表には空欄箇所もありますが、データを参照したFMPのサイトににデータ掲載がなかったため、空欄になっています。

投資の研究に、ぜひ参考にしてください。

備考:データの細かい注意点

※細かい注意1:前回の記事ではMorningStarのサイトから企業データを見ましたが、FMPのデータを使いました。

※細かい注意2:企業の現金が十分になるかの確認は、前回記事で使った指標のQuick RatioではなくCurrent Ratioを使っています。FMPにはQuick Ratioのデータがないためです。また、MorningStarとFMPで指標の算出方法がわずかに異なるので、両サイトでICとD/Eの値にズレがあります。


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