米国株で知っておいたほうがいい数字シリーズの4回目になります。
米国株投資向け数字・数式
- (1)1日の最大下落率
- (2)大恐慌下の最大下落率
- (3)市場平均リターン
- (4)72と115の法則と使い方(本記事)
72の法則とは
株などの資産運用をするときには、複利計算をする必要がありますが、複利計算を暗算で簡単に求めるための方法がいくつかあります。もっとも有名なのは、複利で運用した時に資産が倍になるまでの年数を求める72の法則があります。
資産が倍になるまでの年数 = 72 ÷ 運用リターン(%)
たとえば前回お話した米国株式市場の平均リターンの7%で毎年運用すると、資産が倍になるのは約10年かかることがわかります。
72 ÷ 運用リターン(%) = 72 ÷ 7 = 約10(年)
また、7%の運用で資産が4倍になるのは、倍になるための10年の期間を2回繰り返す必要があるので約20年後。7%運用で資産が8倍になるのは、倍になるための10年の期間を3回繰り返す必要があるので約30年後、というように次々計算することもできます。
115の法則の使い方
さて、72の法則は有名で知っている人も多いと思いますので、115の法則についても振れたいと思います。72の法則が複利で資産が2倍になるための期間を計算する式でしたが、この115の法則は資産が3倍になるための計算方法になります。
資産が3倍になるまでの年数 = 115 ÷ 運用リターン(%)
ここでも市場平均7%運用した場合を考えると、資産が3倍になるのは115÷7=約16年かかることがわかります。さらに上で紹介した72の法則と115の法則を組み合わせて使えば、あらゆるケースで資産が何倍になるかの計算は暗算で求められるようになります。
7%運用で何年かかるか | |
---|---|
2倍 | 72÷7=約10年 |
3倍 | 115÷7=約16年 |
4倍 | (2倍になるまでの年数)×2=約20年 |
6倍 | (2倍になるまでの年数)+(3倍になるまでの年数)=26年 |
8倍 | (2倍になるまでの年数)×3=約30年 |
9倍 | (3倍になるまでの年数)×2=約32年 |
12倍 | (2倍になるまでの年数)×2+(3倍になるまでの年数)=約36年 |
なお、72も115も計算しにくかったら、近い数字に置き換えても結果は大差ありません。たとえば、115÷7を計算しにくいなと思ったら115に近い112とかに置き換えて112÷7=16として問題ないです。
※また、72という数字は1,2,3,4,6,8,9と割り切れる数字が多いために選ばれている説があります。
72の法則の使い方:老後に必要な資金は足りるか
72の法則を使えばいくつか前提をおいて資産運用で老後の資金が足りるかを計算することも暗算でできるようになります。
とりあえず以下の前提をおいてみます。
- 現在30年歳(老後まで35年)、投資資金1,000万円
- 積立投資ではなく、投資資金を米国株7%運用で定年までの30年間続ける
- 老後は65-95歳までの30年間。年間400万円使うとする
- 老後は全て投資をやめて現金化。(税金はかからないとする)
まずいくら必要か概算
日本は年金制度も頼りないので、老後の生活資金は全て投資からまかなうとすると老後まで35年後に資産をもっておけばいいか、計算してみます。
老後は65歳から95歳までの30年間、年間400万円を使うと仮定したので、掛け算をすると総額は1億2000万円が必要になります。
実際に老後資金は足りるのか?
老後の35年後までに資産を1億2000万円を築き上げる必要があることがわかりましたが、現在の投資資金1,000万円から考えると12倍にしなければならないことがわかりました。
さて、この人は無事に米国株で35年間で資産を12倍にできるのか見てみましょう。ここで上で説明した72の法則と115の法則を使い(もしくは上の表の12倍の行を見れば)、資産を12倍にするには36年かかると計算できます。
おっと、残念。若干足りないようです。(苦笑)
しかし、この計算は概算なので35年後にはおおよそ目標資産額の1億2000万円は射程圏内であることがわかります。
投資資金をもう少し用意するか、それとも毎月少しずつ積み立てる資金を用意するか、定年を2-3年後ろにずらせば老後資金の確保ができるなとなどと暗算だけでも、これだけ検討することができるのです。