この記事では、米国株のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトのGAFAMと呼ばれる企業の割高度について考えていきます。
株が割安か割高かを判断する方法は山のようにありますが、このブログでもお馴染みのPERという数字を使っていきます。
PERは[株価]を[一株利益]で割っただけの簡単な数字ですが、そこそこ使えると思っています。
単にPERを比較するだけならどのサイトでもやっているので、ここでは少し趣向を変えて、5年後の予想PERを見ながら今のGAFAMの割高度を比較していきます。
この記事のポイント
- GAFAMの今後5年の予想PERを算出した。5つの企業の中で割安だったのは、フェイスブック。次点でグーグル(アルファベット)だった。
- 通常のPERでは一見割高に見えるアマゾンは、5年予想PERで見るとアップルやマイクロソフトと同程度の割高度だった。
PERを使う際の注意点
簡単に言うとPERが高い株は「利益があまり出ていないのに株価が高い、割高な銘柄」、PERが低い株は「利益は出ているのに株価が安い、割安な銘柄」と言えます。
ただ、PERは仕組みがシンプルゆえに、取り扱いが難しいところがあります。私がPERを見るときに、気をつけている点の一部は以下のようなものです。
- (1)[株価]を[過去12ヶ月分の一株利益]で割った通常のPERではなく、[将来の12ヶ月分の予想利益]で割った予想PERを見るようにする。
- (2)一時的な要因で利益が急増・急減する場合、PERの値が大きくブレることがある。
まず1点目ですが、通常のPERは[株価]を[過去12ヶ月分の一株利益]で割って計算しますが、私はできるだけ[将来の12ヶ月分の予想利益]で割った予想PERと呼ばれる数字を見るようにしています。
投資家は将来の業績を期待して株を買っているので、割高かどうかを判断するのには、過去の業績ではなく、これから期待されている業績に対して割高かどうかを見る必要があると思うからです。
また2点目についてですが、一時的な要因で利益が急減・急増した場合には、過去1年や今後1年の利益で算出したPERで割高度を測ることが難しくなります。
株価には将来企業が手にする利益(キャッシュフロー)全てが反映されているはずなので、大きく変動した年の利益を使って計算した場合には、割高度を大きく見誤ってしまう恐れがあります。
具体的には、2020年にコロナで大きく低迷した期間の一株利益を使ったり、30年ぶりの好景気時が予想されている2021年の予想一株利益を使った場合には、割高度を見誤る可能性があります。
5年後の予想PERを見てみる
将来の予想利益を使った予想PERを見つつも、2021年の好景気の時期だけで評価することがないように、ここからは5年先の予想利益を使って、GAFAMの割高度を見ていきたいと思います。
ヤフーファイナンスでは、アナリストによる5年間の利益予想を無料で公開しているので、その値をありがたく使うことにします。
今後5年間の予想PERを算出してみた結果がこちらです。
上の表を見る限り、一番割安なのはフェイスブックのようです。
もともと2020年末のPERが5つの企業の中で一番低い上に、5年間の平均利益成長率も20%超えで比較的高いので、5年後の利益に対しても一番割安という結果になりました。
次に割安なのはグーグル(アルファベット)で、この銘柄もフェイスブックについて2020年末時のPERが低く、今後5年間の利益成長率が20%台と5企業の中で比較的高かったことが、こに順位につながったようです。
2020年末のPERではかなり割高に見えるのに、5年後の利益まで見ると割高度はかなり抑えられるのはアマゾンです。今後5年間のかなり高い利益成長率が見込まれているために、5年後の予想PERではアップルやマイクロソフトと同程度まで落ち着いています。
2025年以降もアマゾンのほうがマイクロソフトやアップルやよりも利益成長率が高いのなら、アマゾンのほうが割安という可能性もありそうです。
まとめ
この記事では、GAFAMの5つの企業の中で5年後の予想利益から割高度を比較していきました。
2020年末のPERを見ても分かるようにフェイスブックとグーグルは5社の中では、比較的安いと言えそうです。一方で、アマゾンは2020年末PERだけ見ると高いですが、5年先まで考えるとマイクロソフトやアップルと同程度の割高度であることがわかりました。
最後に注意しておきたいのは、ここまでの議論は全て5社の中での比較だという点です。
アマゾンがマイクロソフトやアップルと同程度の割高度だと分かっても、そもそもマイクロソフトやアップルは今でもやや割高だと思っています。
私の場合は、GAFAMの中では唯一フェイスブックなら買っても良い株価だろうと思って、保有している程度です。