多くの経済指標で10月分のデータの発表が済みましたが、早くも11月分のデータが発表されたものがいくつかあります。
ここではニューヨーク連銀が発表した製造業の景気を見ていきます。11月の製造業の景気はというと、それほど悪くなかったようです。
しかし、内訳を見ると、どうも不穏な空気が見え隠れします。
この記事のポイント
- ニューヨーク連銀製造業指数は11月は予想されたほど悪くなかった。
- しかし、内訳を確認すると景気の強さは感じない。新規受注の伸びも良くなく、受注残も急減している。
- ISM製造業指数も今後持ち直すかもしれないが、その場合でも好調が続くかを内訳で確認する必要がありそう。
最近調子を戻しつつあるニューヨーク連銀製造業指数
ニューヨーク連銀が11月2日から9日までに製造業に実施した景況感調査の結果を発表しました。
その結果を見ていきます。
- 予想;-2.0
- 結果:+9.1
この数字はマイナスなら前月よりも景気が悪くなっていることを示します。予想ではマイナス2ポイントだったのですが、結果は予想外に景気拡大を示すプラスとなりました。
どうも、この数ヶ月の様子を見てみると製造業は景気低迷のトンネルを抜けたような印象があります。以下は最近のニューヨーク連銀製造業指数のグラフですが、ジワジワと回復が続いているようです。
内訳はそれほど良い内容ではない
たしかに、今回のニューヨーク連銀は予想よりも良かったです。しかし、内訳を見るとその好調がどこまで続くのかは、少し疑問が残ります。
たとえば、今回もっとも大きく伸びたのは在庫です。
良い面を見て解釈をするなら将来の需要に備えて在庫が増えていると言えますが、新規受注を見ていると前月よりもわずかに悪化していることがわかります。
よって、将来の受注増加を見越して在庫を積み上げているというよりも、つい在庫が余ってしまったようにも見えます。
受注残を見ても急激に減っているので、あまり製造業が強いという印象は受けません。
というわけで、ニューヨーク連銀製造業指数は一見すると調子を取り戻している用に見えるのですが、中身を見てみるとあまり調子が良くない一面も見えてきました。
通常、ニューヨーク連銀とISMの2つの製造業指数は同じような動きをします。この傾向が続くならISMもまだもう一回持ち直すことがあるかもしれません。
しかし、その場合でもニューヨーク連銀製造業指数と同じようにその強さに持続性があるかはチェックしたほうが良さそうです。少なくともニューヨーク連銀製造業指数(の内訳を見る限りは)はどうもまだ強さが戻っていないように見えます。
ISMが好調であれば、企業の利益も株価も好調を維持できるはずなので、このISMやニューヨーク連銀製造業指数をこれからも注意して見ていこうと思います。