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S&P500の一株利益の低下率も、まだ過去の景気後退ほどではない

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2023年にアメリカで景気後退が起こる可能性は限りなく高いですが、まだもう少しだけ時間がかかると思っています。

昨日の記事では、クレジットカードの貸し倒れ率を見ながら、まだ以前の景気後退に比べると家計に余力がありそうだという話をしました。

>>クレジットカードの貸し倒れ率は上昇も、まだ過去の景気後退ほどではない(23年1月21日)

一方で、既に悪化がはじまっている一株利益を見ても、過去の景気後退に比べるとまだ落ち方が甘いと思っています。

この記事では、過去の景気後退と比べて、まだ企業が持ちこたえている様子を確認していきます。

この記事のポイント

  • 2022年10-12月期の決算シーズンは悲観的なアナリスト予想は上回っているものの、例年に比べて調子は良くない。
  • S&P500の一株利益も前年比でマイナス成長にとどまりそう。
  • しかし、一株利益が下がっていると言っても景気後退にまではまだ猶予がある。一株利益の低下率は過去の景気後退に比べてまだ小さい。

調子の上がらない決算シーズン

1月も中盤に差しかかかって、決算シーズンがはじまりました。

現時点でS&P500の企業のうち11%が2022年10-12月期の決算発表を終えましたが、その結果はあまり良くないようです。

事前にアナリストが予想した一株利益を超えた企業は67%で、これは過去5年平均を下回っています。また、発表された一株利益もアナリスト予想よりも3.3%高いだけで、こちらも過去5年平均を下回る結果になっています。

  • 一株利益でアナリスト予想を超えた企業数:67%(過去5年平均は77%)
  • 一株利益の大きさ:アナリスト予想よりも3.3%高い(過去5年平均は同8.6%高)

そもそも今回のアナリスト予想は前年比マイナスでハードルが下げられた状態にはあったのですが(下図)、それを超えられる企業の割合は例年よりも多くないようです。

それでも一株利益の低下率はまだ本格的な景気後退には遠い

しかし、「企業の利益が落ちているから景気後退が近いか」というと現段階ではそれは違います。

やはりここでも、景気後退にはまだもう少しだけ時間がかかるという結論になりそうです。

過去の景気後退前には、ある時点からS&P500の一株利益がピークをつけて下落していく傾向が見られるのですが、今回はまだ一株利益が十分に落ちきっていないように見えます。

上のグラフは、過去4回の景気後退時にS&P500の一株利益がどのように低下したかを示しています。一株利益はピークをつけて、だいたい15%から20%ほど下がった後に景気後退が起こっています。

一方で、今回(上のグラフ灰色線)は2022年10-12月の時点でまだ一株利益のピークから9%ほどしか下がっていません。

一株利益の低下が15%を超えるのは、あと数四半期かかるのだろうと思います。

つまり、企業の業績はたしかに悪化していますが、それでもまだ過去の景気後退に比べると、まだ持ちこたえていると言えそうです。


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