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GDPマイナス成長でも利上げを続ければ、米国株は最高値から半値に

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2022年のアメリカは景気が良くない状態になってきているのですが、それでも物価の上昇を抑えるために政策金利の引き上げ(利上げ)をしないといけないと言われています。

景気が悪いなら普通は利下げをして景気を支えるのですが、今回のように利上げが続くことは異例のことです。

70年前までさかのぼると、GDPが2期連続でマイナス成長なのに利上げしたのは1974年くらいしか例がなく、この年の米国株S&P500は最高値から約50%にまで下落しています。

この記事のポイント

  • 2022年は1-3月と4-6月の2期連続GDPマイナス成長が予想されているが、利上げはまだ続く見込み。
  • 同様のことが起こったのは、過去70年振り返っても1974年くらいしか例がない。
  • その1974年では前年に記録した最高値から約50%の株価下落が起こっている。

2022年に見られるアメリカの景気悪化


アメリカ経済の2022年の4-6月期はGDPが実質マイナス成長になると予想されています。

アトランタ連銀のGDPNowというサイトの現時点の予想値はマイナス2.1%で、この予想が間違っていたとしても実際のGDP成長率がプラスになる可能性はそれほど高くないと思われます。

そして、気になるのは既に景気が悪いのに、景気を冷やす利上げがまだ続くことです。景気悪化も利上げも株価を下げる力が働くので、投資家にとって今の状況は苦痛です。

このような状況はあまり記憶にないので、過去に同じことがあったかどうかを見てみました。

めったにないGDPマイナス成長期での利上げ


過去70年間をさかのぼって、アメリカで「2期連続の実質GDPマイナス成長を記録」して、かつ「政策金利(フェデラル・ファンズ・レート)が上昇した時期」があったかを調べました。

結果、次の2つしか見つけることができませんでした。

  • 1974年3月から7月
  • 1980年1月から4月

ただし、1979年から1982年の間は中央銀行FRBはフェデラル・ファンズ・レートの誘導目標をやめて、通貨の供給量(非借入準備と呼ばれるもの)をコントロールしてたはずです。

なので、GDPマイナス成長期にFRBが意図的にフェデラル・ファンズ・レートを引き上げたのは1974年の1つしか例がないことになります。

1974年との共通点


1974年と聞いて気づく人もいると思いますが、この年も2022年と同じようにインフレに苦しんだ年でした。

そして、高いインフレを抑えるために政策金利引き上げていたことも似ていますが、結果として1974年も株価の下落が続いた点も似ています。

当時は前年の1973年につけた最高値から約50%下落したところで、ようやく下落が止まっています。

50%の下落率は、景気後退の中でも大きいほうに分類されます。

アメリカは2022年に景気後退になると私は思っていますが、景気が悪いのに利上げが続く1974年と似ているのはかなりマズい状況です。

1974年の例を見ると株価は最高値から半分になっているため、これからの米国株は景気後退の中でも軽めの20-30%下落ではなく、40-50%の下落を想定したほうが良いかも知れません。


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