2019年は株式公開(IPO)が注目を集めた年でした。
タクシー配車アプリのUberとLyft、デニムで有名なリーバイスなどが株式公開(IPO)したことで、個人投資家も自由に株が買えるようになっています。
「IPOした株を買って損をした」と嘆いたり、怒ったりしている人をTwitterなどで多く見かけましたが、実は2019年のIPO銘柄のリターンは+28%とそこそこ良い年でした。
この記事では、1つ1つの企業の成績に触れないで、2019年のIPOした株の全体的な傾向をデータをもとに振り返って行きたいと思います。
- Uber・Lyft・Slackなど注目されたIPOが多い年だった。
- 2019年にIPOした149銘柄のリターンは28.4%だった。90社でプラスのリターン、マイナスリターンは59社だった。
- IPOは初日で勝負がついていた。初日値上がりした企業の2019年リターンは45.04%。一方で、値下がりした企業の2019年リターンは-11.09%だった。
人気企業が続々とIPOした2019年
2019年IPOが注目を集めたのは、今まで未公開株だった超人気企業が続々と株式公開をしたためです。
2019年にIPOして、誰でも株が買えるようになった企業には、例えば次のようなものがあります。
- リーバイス:デニムのファッションブランド
- Uber:タクシー配車アプリ
- Lyft:タクシー配車アプリ
- Slack:社内情報共有アプリ
- Pinterest:SNSアプリ
- ビヨンドミート:植物性成分由来のハンバーグ
2019年IPO銘柄のリターンは28.4%
2019年のIPO銘柄149社のリターンを追いかけて見ると、リターンは28.47%でそこそこ良いリターンを上げていることがわかります。
IPO銘柄数 | 149社 |
---|---|
IPO銘柄リターン | 28.47% |
参考:S&P500リターン | 28.42% |
リターンもS&P500をわずかに上回っているように見えます。IPOは春から夏にかけて行われるものが多く、S&P500よりもずっと短期間で同じリターンを上げていることを考えれば、かなり効率が良い投資です。
この記事は、2019年12月26日に書いていますが、現時点で株式公開から株価を上げている企業が90社、下げているのは59社です。この数字をみても2019年のIPOはそれほど悪くないように見えます。
2019年リターン | 企業数 |
---|---|
プラス以上 | 90社 |
マイナス | 59社 |
初日の結果の良し悪しで全てが決まる
せっかくなので、もう少しだけ詳細にIPOの株のデータを見ていきます。
興味深いのは、初日に公募価格を上回った企業とそうでない企業で、2019年のリターンが大きく異なることです。つまり、IPO銘柄は初日で勝敗が決するようです。
IPO銘柄 | 企業数 | 2019年リターン |
---|---|---|
初日値上がり | 105社 | 45.04% |
初日値下がり | 44社 | -11.09% |
「これを見る限り初日の動きを見て、買うかどうかを判断すればよかったのか」と思うかもしれません。しかし、そんなに甘くはありません。
値上がりする企業のリターンはほとんど初日でたたき出すからです。
IPO銘柄 | 初日リターン | 2019年リターン |
---|---|---|
初日値上がり | 32.17% | 45.04% |
初日値下がり | -11.81% | -11.09% |
上の表を見てみると、初日値上がりしたIPO銘柄は初日だけで32%上昇し、その後は11%しか上昇していないことになります。
初日の動きを見て買うかどうか判断していたら、すでに初年度のリターンの多くを逃すことになります。
しかも、この初日のリターンは公募価格で株が買えている人のリターンです。
おそらく初日は公募価格から10〜数十%高い初値がついているはずなので、公募価格でなかなか株を手に入れられない個人投資のリターンはもっと少なくなるでしょう。
まとめ
2019年はIPOが注目を集めた年でした。
UberやLyftなど、一部の人気銘柄は残念ながら2019年に良いリターンを上げられませんでしたが、IPO銘柄全体では+28%と良いリターンを上げています。
ただ、リターンのほとんどが初日で生み出されている点、一般の個人投資家はIPOの公募価格ではなかなか株が買えない点を考えると、個人投資家がIPOで目立ったリターン手にするにはやや難しい年だった可能性もあります。
最後に、この記事で使用したデータの入手元を紹介します。こちらのサイトで2019年末まで、2019年分のIPOの成績が見れます。