長期金利が下がると株価は上がりやすくなり、長期金利が上がると株価が下がりやすくなる傾向があります。
21年2月にはアメリカの長期金利の急上昇で米国株が下がって投資家の不安材料になっていましたが、4月にはそれも落ち着いて一安心している人も多いと思います。
こちらの記事にも書いたように消費の拡大が3月末で一旦ピークをつけたことで、景気回復期待を受けた金利の上昇は4月に一旦収まった模様です。
ただ、一方で商品投資家たちは金利の低下が続くとは思っていないようです。ゴールドと銅の価格を見ているかぎり、「まだまだアメリカの長期金利は上昇する」と言っているように見えます。
この記事のポイント
- ゴールドと銅の価格を比べると、長期金利が今度どのように動くかをある程度占うことができる。
- 2021年5月時点で銅の価格をゴールドの価格で割った値は上昇を続けている。銅/ゴールド比率は長期金利と連動する傾向があるので、長期金利も上昇する可能性がある。
- 少なくともゴールドや銅を買う商品投資家は、今後の金利上昇に賭けている。
なお、この記事を書いている5月12日現在でアメリカの長期金利(10年国債利回り)は1.62%です。
商品投資家が予想するように、今後この値が上昇するのかどうかを見守っていきたいと思います。
長期金利と株に関する動きの振り返り
既に投資家の記憶から少し薄れてしまったかもしれませんが、21年の2月はアメリカの長期金利が急上昇して、株価が下落する動きが見られました。
特に割高な株が多いナスダック総合指数は、長期金利の影響を強く受けて大きく売られました。
しかし、4月以降は長期金利の上昇も落ち着き、今は投資家の関心が少し薄れている印象があります。
ゴールドと銅の価格は長期金利の上昇を予言している
このままアメリカの長期金利は低下して、株価に優しい環境が続くのでしょうか。
しかし、残念ながら、市場の商品投資家たちは長期金利が上昇すると予想しているようです。それは[銅の価格]と[ゴールドの価格]を追いかけることでわかります。
以下の記事でも書いたように、[銅の価格]÷[ゴールドの価格]はアメリカの長期金利の動きに連動(しかも先行して動くことも多い)傾向があります。
銅は景気の先行指標になるのか、実際に試してみた。
銅は景気の先行指標としてよく使われると聞きます。ざっくりいうと銅の価格が高ければこれから景気が良くなると言われ、銅の価格が低くなると景気が悪くなると言われます。なので、実際に銅の価格の変化を見れば、GDPや10年米国債利回りやさらにはS&P500などの株価の変化が予見できそうなのかを調べてみました。
[銅の価格]÷[ゴールドの価格]の最近の動きを調べたのが、以下のグラフの赤い線です。以下のグラフの右側(2021年4月から5月)で赤いグラフが上昇している様子が見られます。
一方で、最近のアメリカの長期金利(グラフの灰色の線)を見てみると、[銅の価格]÷[ゴールドの価格]の4-5月の上昇に連動した動きはまだ見られていません。
赤いグラフと灰色のグラフの連動が崩れていなければ、今後のアメリカの長期金利は上昇する可能性が高いと言えそうです。
まとめ
ここでは、アメリカの長期金利が今後上昇するかもしれないという記事を書いてきました。
4月は長期金利の上昇が収まったことで米国株は一安心して上昇していましたが、商品投資家の予想が正しいなら今後は再び長期金利の上昇することになります。
長期金利上昇に備えるなら、過去に金利が上昇した日にどのような株価の動きがあったのかを振り返ると、良いかもしれません。
2月から3月にかけて長期金利が上昇した日を振り返ると、割高な銘柄が大きく売られましたが、生活必需品株や銀行株やエネルギー株は比較的下げが小さかったです。
以下の記事で、長期金利が急上昇した日の値動きについてまとめているので、合わせて御覧ください。
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